星出彰彦さん(52)と米欧3人の宇宙飛行士を乗せた米スペースX社の宇宙船「クルードラゴン」が日本時間23日午後、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられ、24日午後、国際宇宙ステーション(ISS)に到着した。星出さんは昨年11月から滞在中の野口聡一さん(56)と合流し、史上2回目の複数日本人宇宙同時滞在が実現した。28日には日本人2人目となるISS船長に就任する。
クルードラゴンは23日午後6時49分に同社の大型ロケット「ファルコン9」に搭載され打ち上げられた。約12分後にロケットから分離されて打ち上げは成功。全自動で飛行を続け24日午後6時8分、高度約400キロのISSにドッキングした。
結合部の気密性などの確認を経て扉が開き、午後8時40分過ぎ、4人の先頭を切って星出さんが満面の笑みでISSに姿を見せた。星出さんは、クルードラゴン船内で無重力の判定に使ったペンギンの人形を手放してISSに送り込んだのに続き、待ち受けた野口さんらと抱き合い再会を喜んだ。日本人同時滞在は2010年の野口さんと山崎直子さん(50)以来となった。
到着後の地上との交信で宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山川宏理事長が英語で「聡一とアキ(星出さん)がクルードラゴンに連続して搭乗し、同時に滞在していることは日本にとって素晴らしい喜び。ISSでの長年の緊密な協力を表す出来事だ。アキは長期の任務で(大学時代の)ラグビーの経験を生かし、チームワークを主導するだろう」と呼びかけた。
星出さんは「(滞在中の)4カ国を代表する11人がここでスクラムを組む。私たちがここに安全に到着するため精励してくれた、全ての人に感謝したい。世界中の人々と働けるのが楽しみだ」と応えた。26日午前にはツイッターに「(ISSに)帰ってこられて、しかも7人の友達が出迎えてくれて、本当にうれしかった。皆の笑顔が印象的でしょう」と投稿した。
星出さんらのクルードラゴンは本格運用2号機だが、飛行士が乗るカプセル部分は昨年5~8月の有人試験飛行で使った機体と同じもの。ファルコン9の第1段も、昨年11月に野口さんを打ち上げた機体の再使用だった。星出さんは出発前「再使用品は既に飛行実証されたもので、点検や改修を細かくやっている」とし、不安はないと説明していた。
星出さんは1992年に慶応大学理工学部を卒業。米大学の修士課程を修了後、宇宙開発事業団(現JAXA)でロケット開発や飛行士訓練計画などに従事し、99年に飛行士に選抜された。2008年にスペースシャトル「ディスカバリー」で初飛行し、ISSに日本実験棟「きぼう」を設置する作業を実施。12年の長期滞在では3回の船外活動をこなしている。今回が3回目の飛行で、ISSに約半年間滞在する。
14年の若田光一さん(57)に続く日本人2人目の船長には、28日未明にISSの実験棟「デスティニー」で開かれる船長交代式で就任する。船長はISSの現場責任者として滞在中の飛行士を統括し、運用や安全監理、実験などの活動を把握する。火災や急減圧などの緊急事態時には、飛行士の安全確保やISSの機能維持のための指揮を執る。
野口さんは28日夜、往路で搭乗したクルードラゴン本格運用1号機で米国人3人とISSを離脱し、29日未明に地上に帰還する。
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