習慣化は、生産性のアップや健康状態の改善の近道といえる。一方で、新しい習慣をつけようと思っても仕事に追われるうちに忘れてしまう。時間管理など生産性支援アプリを開発するRescueTimeが公式ブログで、「How to build good work habits」として、新しい習慣のつけ方を伝授している。コロナ禍以前の2017年の記事だが、新たな習慣を身につけるのに参考になりそうだ。
習慣がなぜ大事なのか?我々が日々とる行動の40%は習慣によるものというデューク大学の調査を紹介し、習慣をつけるにはどうすればいいかーーまずは、習慣のメカニズムを復習しようと執筆者のJory MacKay氏は解説する。
習慣とは何か「きっかけ」があり、「ルーティン」があり、そのルーティンから「報酬」がえられるという流れだ。例として、スマートフォンの通知が来るとすぐに見るという習慣を考えてみよう。ポケットの中のスマートフォンが通知を知らせる(「きっかけ」/Reminder)。あなたはポケットからスマホを取り出して通知をみる(「ルーティン」/Routine)。何の通知だったのかがわかり、自分の好奇心が満たされる(「報酬」/Reward)という流れ。
きっかけ(スマートフォンが通知)→ルーティーン(ポケットからスマホを取り出して通知をみる)→報酬(情報を得られる/好奇心が満たされる)
実はきっかけの後、ルーティンを行うかどうかを選択しているのだが、ポイントは報酬。報酬がポジティブなものであれば、習慣化する。通知の内容を知りたいという好奇心が満たされるとわかるので、ポケットの中でスマホが通知を知らせると、無意識に取り出している。
意図的に習慣化を作り出すにはどうすればよいだろか?Jory MacKay氏は、身近な実践方法を紹介している。例えば、ヘルシーな食生活を習慣にしたいと思っているのに、ランチの時間になるとすっかり忘れてジャンクフードを食べてしまった、ということを防ぐにはどうすればいいか?リマインダーの活用が有効だとしている。リマインダーを使うことで、きっかけを作る。ランチ時間に合わせて"if-then"リマンダーを設定しておく。「もし(if)ランチの時間が来たら、(then)ヘルシーな食事をする」というもので、特定の場所で通知してくれるリマインダーアプリもある。それこそ「IF (条件) THEN (実行するタスク)」でWebサービスを組み合わせて自動化するIFTTT(イフト)などで作り込むことも可能だ。駅に着いたら、電車に乗ってやることをリマインドするという設定をすれば、電車時間でやることを習慣化できる。
Reminder→Routine→Rewardの仕組みを持つWebサービスやアプリは多そうだが、入門者でも手軽に環境がそろえられそうなGoogle Keepをためしてみた。Web版にアクセスして「リマインダー」をクリック、そのままメモテイストでサブジェクトを作る。
筆者は習慣化したいと思う題材をタイトルに、報酬を補強する情報をメモ書きした。それが実行されるとどうなっていくのか?モチベーションとなるテキストを書き込む。URLを貼り付けると別のフレームでアイコンとリンクが貼られるので参考になりそうなWeb記事などを付記してくのも良さそうだ。ベルの形のアイコンでリマインダーを「時間」か「場所」で選択しておく。スマートフォンにアプリを入れておけば、時間や近くを通ると知らせてくれるという仕組みを手軽に構築できる。上手く噛み合えば、Reminder→Routine→Rewardが継続でき、続けていくうちに習慣化されるというわけだ。
Jory MacKay氏は、心理学者のBJ Fogg氏やCharles Duhigg氏の習慣化の研究や書籍を引いて、図を用いながら解説し、学問ベースの研究や成果をわかりやすく身近な例に落とし込んでいるが、"私たちの生活は習慣に基づいているので、できるだけ前向きにすることが私たちの最大の利益です。時間をかけて、自分のやり方を定期的にチェックし、悪い習慣から良い習慣へとゆっくりと移行してください。"と日々の行動の40%を占めるという習慣の改善が大切だと説いている。