半導体露光装置メーカーのASMLが発表した2021年第1四半期決算概要によると、売上高は前四半期比2.6%増の43億6400万ユーロ、純利益は同1.5%減の13億3100万ユーロとなったという。また、半導体業界からの需要が高まっていることから、通期業績予想を1月時点の前年比10%増から、同30%増へと引き上げたとしている。
同社の2021年第1四半期業績に対するアナリスト予想は、売上高が40億2000万ユーロ、純利益が10億8000万ユーロ前後であったため、これを大きく超えたことになる。また粗利益率は53.9%。2021年3月31日時点の受注高は47億4000万ユーロで、2020年末の42億4000万ユーロから5億ユーロほど増加したという。
同四半期の地域別出荷比率を見ると、韓国が前四半期の31%から44%へと増加したほか、台湾も39%から43%へと増加している。その代わり、日本、米国、中国、EMEAが減少し、なかでもEMEAは0%となっている。
ASMLは、2021年第1四半期のトピックスとして以下のようなものを挙げている。
- EUVでは、ペリクルの透過率を90%に向上させることに成功し、顧客の大量生産における生産能力増大をサポートできるようになった。
- DUVでは、TWINSCAN NXT:1470で1時間あたり300枚以上のウェハ処理を達成。前モデル(XT:1460)と比較してほぼ50%の改善である。
- 顧客サイドで100回目のDUVSNEP(システムノード拡張パッケージ)のアップグレードを完了。SNEP製品を導入することにより、システムパフォーマンスを向上させ、より高度なテクノロジーに合わせてシステムの寿命を延ばすことができる。
- KrF露光装置に関しては、1000台目の出荷というマイルストーンを達成した。
- アプリケーション事業では、EUVとDUVの両方でスキャナーの需要が増加し続けているため、2021年にもスキャナー制御アプリケーションの需要が増加すると予想される。
ASMLによると、第2四半期の売上高は40億~41億ユーロ、粗利益は約49%、研究開発費は6億5000万ユーロ、販売管理費は1億7500万ユーロ程度と予想している。
ASMLの社長兼CEOであるPeter Wennink氏は、「第1四半期の売上高は事前のガイダンスを上回った。粗利益率も事前のガイダンスを上回る結果となった。半導体業界は現在、高い需要が続いており、顧客はソフトウェアのアップグレードを利用して生産能力をできるだけ早く増やそうとしている。第1四半期末時点の予約は47億ユーロだが、そのうちEUVシステムが約半分の23億ユーロを占めている」と述べている。また、半導体需要に関しては、「3か月前と比較して、すべての市場セグメントと製品ポートフォリオで需要が増加している。5G、AI、HPCなどの長期的な成長ドライバーによるデジタルインフラストラクチャの構築により、先端・成熟両方の技術ノードのロジックデバイスおよびメモリの需要が増えている。そのため2021年には前年比30%増に向けて売上高が伸びると予想している」としている。