フォーティネットジャパンは4月21日、国内市場における事業戦略説明会を開催した。社長執行役員 久保田則夫氏は、2020年度のグローバルのビジネスの概況として、Billingsが19%増の30億ドル、収益が20%増と好調だったことを明らかにし、その要因について「われわれには他社にはない強みがあり、市場がそれを高く評価しているから」と説明した。
久保田氏は、同社の強みの例として、SD-WANによるネットワークセキュリティの融合を実現していることを挙げ、GIGAスクール構想でも導入が進んでいることを紹介した。加えて、ネットワークエッジの増加も同社のビジネスの追い風となっているという。
2021年度のビジネス戦略については、副社長兼メジャーアカウント統括本部・本部長 田井祥雅氏が説明を行った。同社の2021年度のビジネス戦略の柱は、「ハイエンド製品」「セキュリティドリブンネットワーキング」「ゼロトラストアクセス」「アダプティブクラウドセキュリティ」「IoT/OTセキュリティ」「サービス」
フォーティネットは、「フォーティネットセキュリティファブリック」というビジョンの下、「フォーティネットサイバーセキュリティプラットフォーム」においてソリューションを展開している。同プラットフォームは「ゼロトラストアクセス」「セキュリティドリブンネットワーキング」「アダプティブクラウドセキュリティ」「AIドリブンセキュリティオペレーション」「ファブリック管理センター」で構成されている。ビジネス戦略の柱もプラットフォームの要素をカバーしている。
田井氏は「セキュリティドリブンネットワーキングにおいては、ネットワークとセキュリティを統合することが重要になる。ゼロトラストアクセスでは、デバイスを可視化して管理していく。フォーティネットセキュリティファブリックでは、デジタル攻撃対象領域全体の可視性と保護を実現するため、幅広いソリューションを提供することで、ユーザーの管理の負担を減らすことを目指している。また、単一のOSで管理できるのはわれわれだけ」と語った。
製品とソリューションの戦略については、副社長兼マーケティング本部・本部長 西澤伸樹氏が説明を行った。西澤氏は、2021年に注力する新ソリューションの領域として、「ゼロトラスト」「SASE(Secure Access Service Edge)」「5G」「XDR」を挙げた。
西澤氏は、これらのソリューションに取り組む中で、注目すべきテクノロジーとして「エッジ」を挙げた。ネットワーク全般にエッジが登場してきていることから、同社はネットワークエッジに注力する。
続いて、西澤氏は同社のプラットフォームを司るOSの最新版「FortiOS 7.0」を紹介した。「FortiOS 7.0」は300以上の新機能が盛り込まれる予定で、2021年に第2四半期から利用可能になるという。西澤氏は「FortiOS 7.0」の特徴として、ゼロトラストとSASEに対応することを挙げた。
さまざまなセキュリティベンダーがゼロトラスト関連のソリューションを提供しているが、同社はゼロトラストアクセスとして、いつでもどこでもセキュアなアプリケーションアクセスの実現を目指す。デバイスとユーザーをアクセス・プロキシーによってコントロールし、アプリケーションごとのアクセスを実現する。
西澤氏は、デジタル変革で求められる柔軟性は、SD-WANとSASEによって実現すると述べた。同社は2021年第2四半期に日本のデータセンターから「FortiSASE」の提供開始を予定している。「FortiSASE」については、技術統括本部・本部長 宮西一範氏が説明した。
「FortiSASE」は、FortiClientと連携する「Secure Internet Access」、FortiExtenderと連携する「Thin Edge」、FortiGate SD-WANと連携する「Zero Trust」の3つのソリューションから構成される。これらのうち、「Secure Internet Access」は一番早くリリースが予定されている。FortiSASE SIAは、リモートユーザーのためのクラウドベースのソリューションだ。
「Thin Edge」はブランチオフィス向けクラウドベースのソリューションで、FortiExtenderからFortiSASEにつなぎこむ。20201年後半にリリースが予定されている。LTE、WAN、5Gチップ搭載など、複数のモデルが用意されるという。