米Gartnerは4月12日(米国時間)、2020年の半導体売上高の最終確定値を公表した。それによると、市場全体は前年比10.4%増の4664億ドルとなっており、2021年初頭に発表した速報値の同7.3%増の4498億ドルから166億ドルの上方修正となった。これは、2020年第4四半期末に向けて半導体の売り上げが予測を上回ったためであるという。
売上高を企業別に見ると、1位のIntelから2位のSamsung Electronics、3位のSK Hynix、そして4位のMicron Technologyまでは2019年と変化はない。Intelの半導体売上高は、コアクライアントおよびサーバCPUビジネスの成長に牽引されて同7.4%増となったが、市場全体の成長率よりも低い結果となった。
逆にトップ10のうちもっとも成長率が高かったのはNVIDIAで、同45.2%増。主にゲーム関連とデータセンター事業の伸びが大きかったという。2番手はMediaTekで、同38.1%増。これは米国のHuawei制裁に伴う漁夫の利を得たためである。3番手は唯一のトップ10入りを果たした日本勢であるキオクシアで、同32.5%増となっている。
2021年1月に発表された速報値に基づくランキングではキオクシアは9位に位置づけられていた。しかし、年末に向けてNVIDIAの売り上げが急増したため、最終的な順位は10位にとどまった模様である。
Gartnerの調査担当VPのAndrew Norwood氏は、「メモリ、GPU、5Gチップセットは、ハイパースケール、PC、ウルトラモバイル、5Gハンドセットといったエンドマーケットの需要に牽引されて大きく成長し、半導体市場も2桁成長となったが、自動車および産業用電子機器は、新型コロナウイルス感染症による支出の減少または支出の一時停止により苦戦を強いられた」と述べている。
メモリ好調の2021年、SamsungがIntelを抜いてトップに返り咲く可能性も
2020年の半導体市場の26.7%を占めるメモリは、前年比13.5%増とパフォーマンスで見ても高い伸びを示すカテゴリとなっている。そのため、Norwood氏は、「メモリは、2020年の主要なトレンドである在宅勤務と遠隔学習への移行の恩恵を受けた。オンライン作業とエンターテインメントを満たすためにハイパースケールベンダーからのサーバ構築需要が増加し、PCとウルトラモバイルが急増した」と述べている。
また、「2021年はNANDとDRAMの両方が不足し、年間を通じて価格が高騰する可能性が高い。そのため2021年は、メモリに注力するSamsungの売り上げが、Intelを抜き、再び半導体売上高トップの座を取り戻す可能性がある」としている。