アマゾン ウェブ サービス ジャパンは4月20日、顧客のクラウド移行を支援する新パッケージ「AWS ITトランスフォーメーションパッケージ」に関する説明会を開催した。これまで、同パッケージでは、クラウド移行における「評価」と「移行」についてプログラムを提供していたが、今回、計画立案を支援するプログラムが追加された。同パッケージは日本独自の取り組みだという。
開発本部 事業開発統括本部長 佐藤有紀子氏は、「われわれはクラウド移行を評価、計画立案、移行と3つのフェーズに分けて考えている。今回、計画立案の支援を拡充することで、包括的プログラムによってクラウド移行を支援していく」と述べた。
「移行」に関するプログラムは「クラウドエコノミクス」「マイグレーションレディネスアセスメント」の2つだ。前者では、TCOの分析専門チームがオンプレミスとクラウドのTCO( 総保有コストを比較分析してレポートを作成する。レポートはインフラのコスト削減とスタッフの生産性に分けて、クラウド移行の効果が示される。日本では2017年にクラウドエコノミクスがスタートしたが、約300社の実績があるという。
「マイグレーションレディネスアセスメント」では、クラウド移行に必要な6つの視点から現状分析を行う。6つの視点とは、「プラットフォーム」「オペレーション」「セキュリティ」「ビジネス」「人」「ガバナンス」で、技術的視点と非技術的視点に分けることができる。
佐藤氏は「ビジネス、人、ガバナンスという非技術的視点の課題は企業によって異なるものであり、企業が主体的に解決する必要がある」と説明し、クラウド移行後に関する不安を解消するため、計画立案を支援するプログラムが追加されたという。
「計画立案」に関するプログラムのラインアップは、「クラウド推進」「パイロット移行」「EBA体験型ワークショップ」「Customer Solutions Managerによる並走」となっている。
「クラウド推進」においては、人材育成と組織立ち上げを支援する。人材育成に関しては、推進組織「CCoE」がクラウド移行成功のカギを握るとして、その構築を支援する。CCoEは「アプリケーション担当」「インフラ担当」「リーダーシップ」「セキュリティ担当」「オペレーション担当」から構成されるが、佐藤氏は「エグゼクティブスポンサーも重要」と説いた。
加えて、CCoEの立ち上げにおける人材育成を支援するため、コアメンバー育成のためのトレーニングとAWSトレーニングバウチャー(AWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイト育成×3名分相当)を提供する。
一方、組織の立ち上げに関しては、評価フェーズで行う「マイグレーションレディネスアセスメント(MRA)」での改善点を解消するAWSプロフェッショナルサービスの支援メニューの利用料を一部サポートする。
「パイロット移行」のサポートとしては、対象となるプロジェクトの選定を行う。具体的には、プロジェクトシステムの選定と移行方式の決定を行い、クラウドへの適合性が高いシステムをいくつか選定する。また、体験型ワークショップ「Experienced Based Acceleration(EBA)」でAWSのソリューションアーキテクトによる支援の下、移行も実施する。
EBAでは、クラウド利用に対する最大のブロッカーである慣れ親しんだプロセスに対し、アジャイルなアプローチでパイロットプロジェクトを体験し、新しいプロジェクト管理、部門間の協業、新しい問題解決方法を実践・実感してもらう。アジャイルなアプローチによって、プロジェクトをスピーディーに進めていくことを実現するという。
「Customer Solutions Manager(CSM)」に関しては、技術統括本部 レディネスソリューション本部 本部長/プリンシパルソリューションアーキテクト 瀧澤与一氏が説明を行った。
CSMは、クラウド移行におけるトラステッドアドバイザーとして、「CCoEとの定期的なミーティング、プロジェクト」「変更管理、課題管理、進捗管理、コミュニケーション管理」をサポートするとともに、移行における技術的なベストプラクティスを提供する。
瀧澤氏は「クラウド移行において、計画から移行までは長い期間となるので、Customer Solutions Managerによって顧客を支援していく」と述べた。