日本マイクロソフトは4月15日、GIGAスクール構想市場を中心とする、同社の文教市場への取り組みについて説明した。
日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部 統括本部長 中井陽子氏は、「GIGAスクール構想市場に向けては、この1年間で290万台のWindowsパソコンが出荷、あるいは出荷される見込みだと聞いている。私たちは、一人1台の環境が整ったところで、毎日使っていく、日々使いしていくという大事な局面にきていると感じている」と、GIGAスクール構想では、導入するから活用するというステップに入ったと認識していると語った。
同社ではこの状況に向け、教員、生徒、保護者、高校生それぞれに向け、支援策を展開していくという。
同社はこれまで先進的な取り組みを行っている教員に向け、認定プログラムを展開。マイクロソフト認定教員 (MIE) として認定し、情報提供してきたが、今後は、より裾野を広く展開していくという。
具体的には、「Microsoft 教育センター」提供するコンテンツの拡充を図り、教員が参考にできるICTの活用事例や指導案などを無償で公開していくほか、「GIGA Start Program」という自治体向けの無償研修も開始したという。また、グローバルパートナー5社と提携して、自治体向けの研修プログラムを提供していくという。
さらに、これまで先進的な取り組みをしている先生が利用してきた実践例や教材を使えるようにするため、ポータルサイト「Microsoft Education 授業・学校活用素材集」を6月から公開できるように準備を進めている。このポータルは、文部科学省のStuDXとも連携するという。
そのほか、認定教員の知識を広げるため、地域コミュニティ「 Microsoft Educator Local Community」を開設すべく、準備をすすめていくという。
中井氏はこれらの活動によって、令和5年度までに、現在の11000人から10万人まで、リーチする教員の数を拡大していくとした。
生徒に向けては、「スキルアップのためにコンテンツの提供が重要だ」(中井氏)とし、すでに教育版マインクラフトを提供しているほか、テーマに基づいてグループで協同して建物や街を制作して理科や化学を学んだり、プログラミングも作成可能にしている。SDGsについて学べる 「Sustainable City」 では、環境授業で活用できるようにしている。
また、科学・技術・工学・数学向け領域であるSTEM向けに、海外で展開しているHacking STEMを日本語化し、4月から無償提供した。Hacking STEMは、自然科学をテーマにExcel を使って、リアルタイムのデータを取得・分析し、教科横断で探究的に学ぶ教材となっているという。
そのほか、専門学校や大学向けにAIなどの「最先端のテクノロジーを学ぶ」無償コンテンツを「MS Learn」で提供していく。
また、インクルーシブ教育に向け、アクセシビリティ機能をを支援するさまざまなツールと機能を、 Windows 10とOffice 365に標準搭載したという。
保護者向けには、パソコンの安心安全活用マニュアルを3月に公開したほか、コンシューマ向け情報サイト「Microsoft atLife」で、パソコンを準備、また楽しく活用するための情報を提供していくという。
さらに、Office活用情報サイト「楽しもう Office」では、これまで小学生向けの特集ページを用意していたが、この春、高校生特集も開設した。ここでは、各種Office テンプレートのほか、リモート学習により需要が高まったバーチャル背景も提供しているという。
高校生向けには、「きみの学びが、世界を変える」プロジェクトも同日から開始。情報提供サイトを開設し、生徒主体の新しい学びの取り組みの紹介、高校生活と学びを支援するコンテンツの提供、マイクロソフトの取り組みの紹介を行っていくという。
また、堺市で行った保護者がFormsで欠席や遅刻の連絡を行うと、Teamsに表示。連絡1件1件がPower BIによってExcelに自動で追加していくといった事例もポータルサイトで公開していくという。
中井氏は、GIGAスクールにおけるWindowsパソコンのシェアは35-36%だとし、Chromebookの40%程度に後れをとったが、これに対して同氏は「私たちは、WindowsとOfficeを選んでいただいたお客様をしっかりサポートしていくことにフォーカスしていく。この市場では特にTVコマーシャルもしておらず、露出を高める活動はしてこなかったため、私たちの魅力をお伝えしきれなかった部分はあるが、とくにシェア奪回というような目標を掲げているわけではない」と語った。
また、文教市場について同氏は、「種まき市場だと位置づけおり、収支を重視しているわけでない」とした。