韓国の中堅半導体メーカーMagnachip Semiconductorの中国資本への売却に関して、韓国内から中国への半導体技術流出を懸念する声が大きくなっている。

こうした状況を踏まえ、韓国の電子産業メディアet newsが、同国のファブレスを中心とした半導体企業の中国資本による買収や資本参加について調べたところ、直近6年間で年に1社の割合で主要株主が外国資本へと変更されていることが分かったと4月5日付けで報じている。

同紙によると、2015年に中国Dosiliconがメモリ開発・設計メーカーFidelixの筆頭株主に、2016年に中国の江西聯創硅谷投資がタッチICサプライヤのMELFASの株主に、2017年に中国ESWINが、ディスプレイドライバICなどを手掛けるファブレスWideChipsを買収、2018年に台湾のHsun Chieh Capitalがモバイル向けメモリを設計する済州半導体の2大株主の1社に、2019年に中国・香港のSilicon Micro Technologyが、ファブレスのSilicon Mitusの筆頭株主にそれぞれなったとする。

こうした動きを踏まえ同紙は、こうしたファブレス半導体メーカーを中心とした買収は、主に中国の半導体自給自足に向けた技術取得の意欲がうかがえるとしている。

株式への投資や買収は、企業が成長するための戦略の1つであり、戦略的協力やパートナーシップを確立するために株式を交換する場合もあるが、半導体企業が外資に買収された場合、買収を行った外資に重要な技術情報が漏洩する可能性や人材流出につながることに注意する必要があると同紙では指摘している。ただし、韓国政府は、通商産業資源部(日本の経済産業省に相当)が指定した「国家革新技術」を含まなければ、外資による買収を不許可にすることはできない事態となっている。