SK Hynixのイ・ソクヒ最高経営責任者(CEO)は、4月9日に開催された通商産業資源部(日本の経済産業省に相当)と韓国半導体工業会(SIA)の間で開かれた半導体不足対策の懇談会への出席後、記者団に対し、「SK Hynixは、日本のキオクシアに出資したのであるから、同社に対する投資計画に変更はなく、投資資金を回収するという考えはない」と語ったと複数の韓国メディアが報じている。
これは、Western DigitalやMicron Technologyのキオクシア買収検討報道に併せて、SK Hynixがキオクシア買収の際に出資した3950億円分の株式を高値で売って、投資資金を回収するのではないか、という噂に対する発言である。SK Hynixは、2020年秋にIntelのNAND事業を中国・大連工場含めて90億ドルで買収する契約をIntelと取り交わしたが、その資金としてキオクシアへの資金を回収して充てるのではないかという憶測が韓国内から出ていた。
米Bain Capitalが主導する米日韓の企業コンソーシアムが東芝メモリ(当時、現キオクシア)を買収した際、 SK Hynixは3950億円を出資し、キオクシアの議決権の14.96%を確保したが、今回のSK Hynix CEOの発言によれば、同社はあくまでもキオクシアの買収に固執しており、他社が買収に乗り出しても出資から引き上げることなく、キオクシアの所有権を確保することを目指すようだ。もし、キオクシアが他社に買収されずに、2021年後半に予定されているIPOが実施された場合でも、最低限(14.96%)の株式を取得し、将来の全面買収に備える可能性が高い。