SK Hynix本社工場のファブM16で4月6日、ウェハ洗浄装置の付帯設備の点検をしていた労働者3人が毒性物質であるフッ化水素酸(フッ酸)にさらされる事故で負傷したと、複数の韓国メディアが報じている。

  • M16

    SK Hynix本社工場にて立ち上げ中のファブM16 (出所:SK Hynix)

M16は2021年3月に竣工したばかりの最先端DRAM量産ラインで、EUVリソグラフィを用いた1α-nm(第4世代10-nmプロセス)のDRAMを年内にも製造開始することを目指し、各種の装置搬入ならびに立ち上げ調整を進めている段階にある。

地元の消防当局によると、同日午前11時34分ごろ、M16の5階にて行われていた設備点検の過程でフッ酸が漏れたという。この事故で、作業者1人が腕や足に火傷を負い、一緒に働いていた従業員2人もフッ酸から揮発したフッ化水素ガスを吸引して、近くの病院へ運ばれたという。

なお、フッ酸は、無色のフッ化水素を水に溶かした揮発性の濃度50%程度の水溶液である。半導体製造において、シリコン酸化膜をエッチングするのに欠かせない重要な薬液であると同時に、シリコンウェハの洗浄に使う標準薬液として世界中の半導体工場で使われているが、人体にとって毒性が強く、取り扱いには厳重な注意が必要である。日本のすべての半導体企業でも使用されており、日本では、森田化学、ステラケミファ(旧:橋本化成工業)、ダイキン工業などが製造している。