SK Hynixが、自動車部品サプライヤ大手のRobert Boschに車載DRAMを10年以上の長期にわたって供給する契約交渉が最終段階に入っていると複数の韓国メディアが報じている。
韓国半導体業界の関係者からの情報としているが、今回の交渉が成立すれば、SK Hynixにとっては車載半導体メモリ分野における初の長期契約になるという。これまで両社は代理店を通じた取引はあったものの、今回の契約は直接取引であり、もし契約が本当に成立すればBoschを介して多くのグローバル自動車メーカーに半導体メモリを供給することができるようになることが期待されるという。
韓国の半導体メモリメーカーは、自動車の電動化/電子化(E/E)の急速な進展にともない、持続的な成長が期待できることから近年、積極的な関心を寄せている。SK Hynixも2016年にオートモーティブ戦略チームを結成し、市場攻略に本腰を入れたほか、2019年からは開発・製造統括部門の傘下に担当役員を配置し、DRAMとNANDの全製品を網羅する組織を設けて運営する体制に変更し、事業規模の拡大を進めているという。
市場調査会社のTrendForceによると、2021年における車両1台当たりに搭載される平均DRAM容量は4GBと予測されるが、これが2024年には8GB程度まで増加すると予測されるという。そのため、現在のDRAM市場における車載DRAMのシェアは1%台だが、2024年には3%以上を占めるまでに成長し、主要市場の1つとして位置づけられる見通しだという。
なお、車載半導体は、事故を起こさないために高い安定性と優れた品質を保証しなければならないため、それが参入障壁となっているが、高い収益性と市場の成長に対する期待が高いことから、半導体メモリメーカー各社も次々と事業強化を図りつつある。新車の開発から実際に発売されるまでは数年かかることから、現在開発中の次世代車両については、メモリの仕様についても既存のモデルとは異なってくる可能性もあることから、いかにそうした自動車メーカーなどからの最先端に対する要望に応えられるかが半導体メモリメーカーが同市場でシェアを拡大できるかどうかのカギとなるとみられる。