日本マイクロソフトは4月7日、通信およびメディア業界の動向と、日本マイクロソフトの取り組みについて説明した。
通信/メディア業界の課題
日本マイクロソフト 業務執行役員 エンタープライズ事業本部 通信メディア営業統括本部 統括本部長 石本尚史氏によれば、通信業界には人口減少、サービス普及の成熟化、料金の低価格化、MVNO事業者の参入による競争の激化などによる通信事業自体の頭打ちという課題があるという。
これに対して石本氏は、コンシューマから法人ビジネスであるBtoBtoXに路線を切り替えることや、オペレーションコストの効率化による収益改善に取り組む必要があるとした。
そのために、5Gを活用できるインフラの構築、業界の課題を捉えたユースケースを創出すること、安全・安心な通信インフラの維持・拡大が必要だとした。
一方、メディア業界は、広告のインターネットへのシフト、NETFLIXやAmazon prime videoなどの動画配信サービスの台頭という課題があるという。石本氏はこれらの課題に対して、視聴者の求める視聴体験の把握やコンテンツの高付加価値化が必要だとした。そして、クリエイティブな業務への集中、業務効率化・高付加価値化、求められるコンテンツの提供、視聴者の動向を知るといったDXが必要になると指摘した。
石本氏は「両業界とも新しいビジネスモデルをどう作っていくかを考える局面にきており、マイクロソフトはそれを支援していく」と語った。
通信業界への支援策
日本マイクロソフト 通信メディア営業統括本部 インダストリーエグゼクティブ 大友太一朗氏は通信業界に向け、「マイクロソフトの持つAzureというケイバビリティと、通信事業者の持つ通信手段を組み合わせることで、世界のあらゆるところでコンピューターリソースを使えるようなインフラを作っていきたい」と語り、具体的には、同社が昨年秋から提供している「Azure for Operators」で支援するとした。
「Azure for Operatorsを一言でいうとキャリアグレードのプラットフォームということになる。すなわち、通信キャリアが求める品質のプラットフォームを提供している」(大友氏)
具体的には、エッジコンピューティングソリューションであるAzure Edge Zonesの提供、Affirmed NetworksおよびMetaswitchの買収による5Gコアネットワークのコンテナ化をし、Azureの上で動作可能にしているという。
大友氏は、Azure for Operatorsにより、超低遅延の通信環境の提供、ネットワークの各機能をコンテナ化してAzure上で動作させることにより、従来、半年~2年を要していたネットワーク構築を数週間で実現できるようになるとした。また、パブリッククラウドの特徴であるトラフィックに応じたスケールイン/スケールアウトによるネットワークコストの効率化、ボイスメールなどのレガシーサービスのコスト削減も実現できるとした。
将来的には、サービス監視、AIを活用した予兆保全、料金回収など、BtoBtoXビジネスを支える付加価値サービスや、IoTアプリの開発プラットフォームなどをマーケットプレイス上で提供することも行っていくという。
メディア業界に向けた支援策
メディア業界に向けて大友氏は、視聴者・消費者動向を知る、制作業務の効率化・高付加価値化、クリエイティブな業務への集中、より求められるコンテンツの提供といったDXを実現していく必要があるとし、同社は、Microsoft 365、Teams、Power Platformといったコラボレーション促進・業務効率化ソリューションでサポートするとした。
「効率化・自動化することで、高付加価値を生み出す仕事に集中できる時間を増やすことができる」(大友氏)
また、同社はDX推進を支援するユーザーコミュニティ「Microsoft DX チャネル」を立ち上げ、DX関連情報、ソリューション情報 (マイクロソフトソリューション/パートナーソリューション)、DX関連国内・海外事例、DX推進に必要な環境整備に関する情報(DX人材開発・意識改革・DX推進組織体制・制度・ICT 環境など)、コミュニケーションや体験の場を提供していくという。