凸版印刷と耐量子セキュリティソリューション事業を手掛けるカナダISARAは4月6日、ICカードへの耐量子-公開鍵暗号の実装に向けて共同研究を行うことを発表した。
これまで個人認証用途で利用されるICカードにはRSAなどに代表される公開鍵暗号が利用されてきたが、2030年に実用化が期待されている量子コンピューティング技術により現在の公開鍵暗号は破られる可能性があり、量子コンピューティングを用いても破られない公開鍵暗号の実用化が求められている。
そうした課題に対し、今回両社は、耐量子-公開鍵暗号における電子署名の生成と認証のアルゴリズムを実現する、ICカード用のプログラムを開発し、ICカードへの実装と機能検証を行うことを予定しているほか、耐量子-公開鍵暗号を実装したICカードを介したアクセス認証・管理の技術検証ならびに、量子セキュアクラウド技術への適応性の検証も行うとしている。具体的には、2022年に耐量子-公開鍵暗号のICカードへの適用および認証システムの技術検証を開始し、2025年の限定的な実用化を経て、2030年にサービス化を目指すとしている。
なお、認証システムの技術検証は、情報通信研究機構(NICT)とも連携し、NICTが開発した量子セキュアクラウド技術を搭載したテストベッド「H-LINCOS」などで行う予定だとしている。