OKIグループでDMS(Design And Manufacturing Service: 設計・生産受託サービス)事業を展開するOKIネクステックは、「Intel Atom x6000E」(開発コード名:Elkhart Lake)プロセッサを搭載したフルカスタムCPUボード開発サービスを5月6日から開始すると発表した。
OKIネクステックは、インフラ・産業・医療機器分野でDMS事業を展開する沖電気コミュニケーションシステムズ(OCM)と長野沖電気(NOK)が合併し、2021年4月1日付で設立された新会社で、今回のサービスがOKIネクステックとなって初めて提供されるサービスとなる。
もともと2社とも電気機器、電子装置の設計・受託生産を行っていたが、OCMは無線通信・電源機器・放送機器などの設計・製造を得意分野とし、通信機器メーカーや電源装置メーカーなどのクライアントを抱えていた。一方のNOKはCPUボード、制御関連、通信ボード関係の設計・製造で産業機器・工作機器メーカー向けに強みを持っていた。
そのため、強みを持つ業界が異なる両社が統合することで、互いの技術を活用し、既存領域の強化と新規分野への参入を目指すとしている。
OKIネクステックだからこそのフルカスタムCPUボード開発サービスの強み
今回発表した新サービスは、2020年9月にIntelが発表した組込機器向けCPU「Atom x6000E」を搭載したCPUボードをフルカスタムで開発するサービス。産業用IoTで求められるリアルタイム性、セキュリティ、機能安全を備えた評価ボードでの性能検証を基に、クライアントごとに必要とする機能を盛り込んだカスタムCPUボードの開発を行うものとなっている。
もともとはNOKにてIntel CPUカスタムボードの開発、製造が年間4万台超の製造規模で行われたきたほか、現金自動預払機(ATM)向け基板や通信機器向けの基板など高信頼性が求められる機器の基板生産を行ってきており、さまざまな産業で求められる高い品質を実現するノウハウはすでに整っているという。
今回のサービスは、高信頼性が求められる産業機器向けに、これらの実績を基にした技術・ノウハウを活用し、クライアントからの「L字型の機器に組み込みたい」などといった特殊形状への要求や、小型化、設置環境に合わせた設計や長期稼働を可能とするための部品選定から信頼性評価までさまざまな要望に応えられるものだと同社では説明している。
また、筐体設計サービスも長年手掛けてきたこともあり、カスタマイズしたボードから顧客の要望に応じた筐体設計まで、一気通貫して行うことができる点も強みになるとしている。
なお、サービス開始予定日である5月6日より評価ボードの無償貸出が行われる予定で、FA、ロボットなど産業機器の制御装置などを開発する企業をターゲットに年間10億円の売り上げを目指すとしている。