日本電気(NEC)と済生会支部栃木県済生会宇都宮病院(済生会宇都宮病院)は4月1日、看護師の業務負荷軽減と安全・安心な医療環境に向けた取り組みとして、AI(人工知能)により発話内容を分析・テキスト化して看護記録業務を支援する看護記録支援システムの実証実験を2021年2月に実施したと発表した。看護記録業務の入力時間を約50%削減できることを確認したという。
今回の実証実験では、病棟看護師および専門・認定看護師32人を対象に、AIを搭載した専用スマートフォンを使って看護記録に関する看護師の発話内容を分析・テキスト化し、看護記録業務における支援機能としての利便性や安全性などの評価・検証を行った。
同システムは医療に関する専門用語に対応した音声認識エンジンを搭載しており、看護師の発話内容をテキストに変換可能。さらに、発話内容に基づきテキスト化したデータを看護記録の形式に合わせて抽出できるため、看護師は抽出した情報に基づきナースステーションで看護記録の確認・整理が可能になる。
これにより、看護師は患者に対するケアや治療経過などの情報を、発話を通じて場所を選ばず効率的に記録可能となり、多くの時間を要する看護記録業務を軽減して患者に対するより看護に注力できる。さらに、入力デバイスへの接触機会を減らすことにより、感染症リスクも軽減できるとのこと。
同病院は今回の実証成果を踏まえ、イヤホンのように耳に装着して発話音声以外の騒音を打ち消し処理して発話内容をクリアに伝達できるヒアラブルデバイスの導入についても検討を進めると共に、入院患者に加えて外来患者も対象とする、医療従事者の業務効率化と感染症対策の実現に向けた同システムの本格利用に取り組んでいく方針だ。