韓国産業通商資源部(日本の経済産業省に相当する中央官庁)は、SK Hynixから建設申請が出されていた120兆ウォン(約12兆円)規模の京畿道龍仁市の半導体クラスター工業団地の計画を承認したと3月29日に告示した。
龍仁市は、ソウルの南40kmに位置し、半導体関係者にはSamsung Electronicsの器興事業所があることで知られている。
韓国政府の認可を受けSK Hynixは、2021年第4四半期に工場建設に着工し、2025年はじめに第1段階となるウェハファブの1棟目が竣工する予定。最終的には4つのファブが建設され、その生産能力は合計で月産80万枚(300mmウェハ)を計画している。
SK Hynixによると、龍仁一帯の415万m2という広大な敷地に、自社の半導体ファブ群のほか、50以上の半導体材料‧部品‧装置メーカーが協力会社として入居し、半導体企業と素材・部品・装置サプライヤの共生型クラスター構築を目指すとしており、これにより、1万7000人余りの雇用が創出されるものと韓国政府も期待を示している。
韓国通商産業資源部では、2021年2月に龍仁半導体クラスターを「素材・部品・装置特化団地」に指定することで、関係省庁と自治体、インフラ造成請負業者、公共機関の全方位的な協力を可能としたと説明している。具体的には、工業用水(26.5万トン/日)の確保や、2つのSK Hynix専用の送電線の構築といったことを進めているとするほか、まだ一部完了していない土地の買収に向けた支援なども行っていくとしている。
また、半導体の供給不足が世界的な問題となる中、米国や中国が自国での半導体生産能力の強化を進めており、今回の韓国内の半導体産業における大規模な民間投資は、グローバルサプライチェーンの安定化に貢献することになるともしており、韓国経済と輸出を支える半導体産業の発展に向けて、クラスター構築に支障がないように政府として支援を行っていくともしている。
なお、SK Hynixの半導体クラスター工業団地が建設される予定の龍仁市の南西には、平澤市がある。同市にはSamsung Electronicsの最新工場である平澤事業所があり、現在、3棟目の半導体ファブが建設中である。