日本電気(NEC)は3月30日、三井住友建設との協業により、建設現場など異なる言語が使われる環境でのコミュニケーションを支援するためとして、一斉同報機能付き多言語音声翻訳システムを開発したと発表した。

アプリ画面のイメージ

新システムは三井住友建設の「どこみなフォン/DokoMinaPhone」で採用し、スマートフォンにインストールした専用アプリの使用により、利用者全員または指定した作業グループに対して音声翻訳した内容の一斉同報が可能とのこと。

同システムの特徴として同社は、1)人間の話し言葉に近い、より自然な翻訳の実現、2)目的に合わせたグルーピングの動的設定、3)チャット形式による時系列翻訳変換の表示の3点を挙げる。

翻訳に関しては、国内で研究開発を行っている情報通信研究機構(NICT)のニューラル翻訳エンジンを搭載し、日本語から外国語、または外国語から日本語へ、より自然な翻訳を実現するという。

グルーピングの動的設定については、専用のスマートフォンアプリを起動してQRコードを読み取り認証することで、予め設定したグループに参加し音声通話の自動翻訳によるコミュニケーションを開始できるとのこと。

時系列翻訳変換の表示に関しては、発話した内容は録音し聞き直しが可能であり、グループチャット形式で原文/翻訳文/逆翻訳文を画面に表示するという。

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今後の展開としては、NECは三井住友建設への採用実績を生かし、引き続き建設業界に向けて同システムの採用を働きかけると共に、実際に利用した現場作業員の意見を集め、対応言語数の拡充や作業員の安全性に配慮したハンズフリーな操作機能の追加、建設現場特有の専門用語や言い回しへの対応に取り組む。

こうした取り組みにより、世界の建設現場で使用するコミュニケーションツールとなるよう機能の向上を進めると共に、建設業界に加えて交通や物流、流通、飲食業界など多様な産業分野へ展開し、さらには言語に関わるコミュニケーション上の課題を解決する新たなイノベーション創出を目指す方針だ。