NECは3月30日、同社の画像分析技術やデジタル技術を活用して、犬猫などのペットに関するさまざまなサービスを連携し、飼い主をサポートする愛玩動物コミュニケーションプラットフォームサービス「waneco(ワネコ)」を発表した。
「waneco」は、犬や猫などのペットの情報やさまざまなサービスや手続きを、一つのID「waneco ID」で連携し、デジタル化した情報を共有・活用できるプラットフォーム。ペットサロンでの健康状態の気づきを動物病院と共有し治療や飼育アドバイスに活用できるなど、犬猫それぞれの適性や状態に合わせたサービスが提供される。
ペットフード協会の調査によると、2020年12月時点において全国で飼育されている犬猫の数は、1813万匹だった。NECは「waneco」について今後5年間で、その約3分の1にあたる600万頭の登録を目指す。
24日に開催された記者会見の冒頭で、NEC AI・アナリティクス事業部 事業部長兼室長の池田雅之氏は、「デジタルやアナリティクスの技術を活用して、飼い主の幸福度や利便性向上といった面から、Well-being(ウェルビーイング)の実現につなげていきたい」と「waneco」の展望を示した。
NECは今後、パートナーとの連携を強化し、ペットサロン向けの無償版アプリやペットサロンにおける施術データと血統種、性別、年齢別の傾向を分析把握するデータ分析サービスを21年4月以降順次展開する予定。無償版のアプリでは、ペットの健康チェックに欠かせないという耳・歯・目・皮膚・被毛の状態などを登録し、ペットのカルテ情報をデジタル化することができるという。
またNECは、LINE公式アカウントを使った飼い主向けサービス「waneco talk」の社内実証を4月より開始する。「waneco talk」は、留守番などをしている犬猫の状況を遠隔地からトーク形式で把握することができるサービス。
具体的には、三軸加速度センサーと気圧センサーを備えた犬猫用活動量計「PLUS CYCLE:プラスサイクル」を首輪につけ、収集した犬猫の活動量を、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」により分析することで、ペットの状態に基づいたメッセージが「waneco talk」のLINE公式アカウントから届く。
プラスサイクルを開発したのは、日本動物高度医療センター。民間企業ではなく動物病院がIoT機器を開発した。同医療センター開発本部の山本誠氏は、「犬や猫は話をすることはできないが、いつもと違う行動や声といった小さなSOSを発しています。それにいち早く気付いてあげたい」と、開発の背景を語った。
NECが実施する「waneco talk」を活用した社内実証では、犬猫を飼っているNECグループ内の従業員約100人に「waneco talk」のサービスを使用してもらい、アンケートなどのフィードバックを得る。そこで得られたデータや知見をもとに、同サービスのブラッシュアップを図る方針だ。2021年8月に一般向けのサービス提供を開始する予定とのことだ。