日本電気(NEC)とダイナミックプラスは3月29日、需要や供給の状況に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングサービスをホテル業界向けに共同開発し、2021年4月に提供開始すると発表した。今後3年間で260ホテルへの導入を目指す。

  • ダイナミックプライシングの考え方

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を大きく受けたホテル業界では、ニューノーマルにおけるサービス提供に向けた施策の1つとして、ロビーや食事会場などホテル共有部でのソーシャルディスタンス確保のため客室稼働率を抑える対策を講じているという。 そのため、需要と供給の状況に応じて利用客のニーズを的確にくみ取り、機動的に適正な客室価格を設定することが重要になっているとのこと。

新サービスの共同開発は、ホテル基幹業務システムである「NEHOPS」を提供してきたNECと、チケット業界でダイナミックプライシングの導入実績を持つというダイナミックプラスの業務提携により実現したもの。

同サービスは、NEHOPSを通じて蓄積した宿泊者数や売上などのデータをダイナミックプラスが持つアルゴリズムへ適用することで、時期や天候、イベント、予約状況、競合動向などに応じた最適な客室価格をリアルタイムで設定可能という。

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  • サービス画面のイメージ

同サービスの特徴として両社は、リアルタイムでの最適価格の分析・算出、NEHOPSと連携した価格自動反映、価格影響要素の可視化の3点を挙げる。

リアルタイムでの最適価格の分析・算出については、需要予測のアルゴリズムを使い、時期や天候、イベント、予約状況、競合動向などのビッグデータを分析することで、リアルタイムに最適な客室価格を算出できるとしている。

価格の自動反映について、同システムで算出した客室価格は、NEHOPSの各種システムにデータ連携・自動反映するという。

価格影響要素の可視化に関しては、競合他社の客室価格、周辺イベントの情報、客室稼働状況など、価格設定に影響を与えた要素を同システム上に表示するため、需要予測や集客施策立案、マーケティングに利用できるとのことだ。