MathWorksは、MATLABおよびSimulink製品ファミリの最新版となる「Release 2021a(R2021a)」を発表した。

同リリースでは、「Satellite Communications Toolbox」、「Radar Toolbox」、「DDS Blockset」という3つの新製品が提供されるほか、12製品でメジャーアップデートを実施。さらに、MATLABおよびSimulinkに対する機能追加およびアップデートが行われたという。

Satellite Communications Toolboxは、高速モビリティ用途を中心とした低軌道衛星(LEO)の増加に対し、衛星通信システムやリンクのモデル化、シミュレーション、解析、検証において機器メーカーやオペレーターをサポートすることを目的として設計されたツールボックス。MATLABで標準ベースの衛星通信信号を開発するための柔軟な環境を提供するほか、衛星通信、ナビゲーション、リモートセンシングシステムのマルチドメインシミュレーションや検証を行うための構成可能性と拡張性を提供するという。

Radar Toolboxには、多機能レーダーシステムの設計、シミュレーション、解析、テストのためのアルゴリズムとツールが含まれており、レーダーシステムの設計者およびインテグレーターが、レーダーの製造や調達を行う前に、システム設計のトレードオフを評価することを可能としたという。また、R2021aでは、Phased Array System Toolboxに含まれていたレーダー向けの機能およびサンプルも追加されたという。

DDS Blocksetは、Simulinkのアドオンという位置づけで、DDSベースの組み込みシステム用のソフトウェアを開発するシステムエンジニアやアルゴリズム エンジニアに対して、モデル化、シミュレーション、検証、コード生成などといったモデルベースデザイン環境を提供するものとなっている。同社では、これを使用することで、エンジニアは、設計とコーディングの反復時間を短縮しながら、より早期にエラーを発見することができるようになると説明している。

このほか、MATLABの新機能として、ライブスクリプトの動的なコントロールや、コードを記述せずにライブスクリプトにプロットを追加するための新しいタスクが追加されたほか、Simulinkのアップデートにより、Cコードを再利用可能なSimulinkライブラリとしてインポートし、シミュレーションにかかる時間を短縮できるようなったとしている。

なお、これらの新製品、新機能に加えて、Polyspace、Stateflowのほか、自律システム、金融工学、制御システム、画像処理およびコンピュータビジョン、RFおよびミクスドシグナル、テストおよび測定の各分野における製品の主要なアップデートも行われているという。