STMicroelectronicsは、IIoTや産業用センサ、ウェアラブル機器、コンシューマ向けヘルスケア機器、スマートホームといったアプリケーション向けにすべての動作モードで低消費電力化を実現した低消費電力32bitマイコン「STM32U5シリーズ」を発表した。
同シリーズは、これまで低消費電力32ビットマイコンとして提供してきたSTM32Lシリーズの後継に位置づけられるもの。Arm Cortex-M33を搭載したほか、40nmフラッシュ混載プロセスならびに独自の低消費電力を実現できるアーキテクチャを採用するのに併せて、シリーズ名を変更することに決めたという。
STM32U5シリーズの特長の1つがさまざまな動作モードで低消費電力動作を実現したこと。ダイナミックにチップが動作した際の消費電力はプロセスの微細化で低下させたほか、「Low Power Background Autonomous Mode(LPBAM)」で、これはCPUを停止したまま、DMAおよびペリフェラルを自律動作させるモードで、こうした機能により、最大160MHz動作の際で、最小19μA/MHzを実現したほか、786KB SRAM全領域を保持した状態で6.6μA、16KB SRAM保持状態で1.7μA、そしてスタンバイモード時で300nAを実現したとのことで、バッテリ駆動のIoT機器などでも長寿命動作が可能になるとしている。
また、性能についても、Cortex-M33を160MHz動作時で240DMIPS/651Coremarkを実現したほか、数値演算アクセラレータとしてFMACおよびCordicに対応。さらにフラッシュメモリを効率的に読み取るARTアクセラレータも機能拡充を実施、従来のマイコン内部メモリに加え、外付けフラッシュメモリからのアクセスにもゼロウェイトで対応できるようになったという。
加えて、PSA CertifiedおよびSESIP(Security Evaluation Standard for IoT Platforms)のレベル3認定の申請を実施済みで、認定されれば同社としては初めてのレベル3セキュリティ認定対応マイコンとなるという。
なお、同シリーズは8種のパッケージ(48ピンLQFP、48ピンQFN、64ピンLQFP、90ピンWLCSP、100ピンLQFP、132ピンUFBGA、144ピンLQFP、169ピンUFBGA)、1MBのフラッシュ(786KB RAM)ならびに2MBのフラッシュ(786KB RAM)、ハードウェア暗号エンジンの有無で合計24製品が第一弾としてラインアップ。すでにサンプル出荷を開始しており、2021年9月から量産を開始する予定のほか、今後のロードマップとしては128KB品~4MB品まで幅広く提供がなされる予定となっている。
また、Microsoftにより、新しいAzure Certified Deviceプログラムのリファレンス・ボードとしても選ばれている「STM32U5 IoT Discovery Kit(B-U585I-IOT02A)」も発表済みで、こちらは2021年の秋ごろの提供を予定しているが、今後、Azure RTOSのパッケージをSTMicroelectronicsの開発環境であるSTM32Cubeとバンドルしてリリースすることも予定しており、これによりAzure RTOSベースで開発することも可能になるとしている。