日立製作所は3月4日、IoT機器などの製品セキュリティにおける脅威・脆弱性情報を収集・分析する「脅威インテリジェンス提供サービス」をAI(人工知能)で機能強化し、4月1日に自動車や医療機器、建設機械などの産業分野を中心に販売開始すると発表した。価格は個別見積。

  • サービスのイメージ

新サービスでは、AIを使用してユーザー企業の製品や業界に関わる情報のみを自動的に選別すると共に、サイバー攻撃の脅威に対するリスク評価や影響を分析したレポートを迅速に提供する。同サービスは、「日立PSIRTソリューション」で提供していた「脅威インテリジェンス提供サービス」をAIで強化したもの。

これにより、製品セキュリティ対策を行う製造業のユーザー企業では、セキュリティ要員の不足や膨大な情報収集・分析の業務負担の課題を解決し、対応要否の判断や対策の検討など人手をかけるべきプロセスへの早期の注力が可能になるとしている。

同社は、先行的な取り組みとしてある大手製造業の企業と連携し、同サービスを使用して情報収集・分析の実証実験を行った結果、人手で行っていた分析時間を約80%短縮するとともに、属人的な分析を排除することで分析の質の均一化も実現できることを確認したという。

同サービスでは、サイバーセキュリティにおける情報検索が可能な収集ツールを使用し、ハッカーやリサーチャーが利用するサイトやダークウェブなど膨大なデータソースを対象に、関連する業界や製品に関する脅威・脆弱性情報を効率的に収集する。また、収集した数万件に及ぶ情報の中から、ユーザー企業に関連する情報を同社独自のAIにより選別するとしている。

具体的には、過去のサイバー攻撃事例における業界特有の攻撃パターンや影響などを学習させたAIモデルにより、収集した情報に含まれるセキュリティ要素や業界固有の要素をAIで抽出し、自動的に関連の有無を選別する。これらによって属人性を排除した情報収集と情報品質の向上により、ユーザー企業が真に対応すべき情報を漏れなくスピーディーに提供可能になるとのことだ。