3月22日から26日にかけて、長崎県五島市で固定翼型垂直離着陸ドローンを用いた医薬品の配送の実証実験が行われる。福江島港から久賀島まで往復32kmを固定翼型ドローンで配送するもので、ANAホールディングスがドローンソリューションを展開するSkyLink Japanの協力のもとオペレーターを担う。

  • 独Wingcopter社製固定翼型垂直離着陸ドローン(同社資料より)

    独Wingcopter社製固定翼型垂直離着陸ドローン(同社資料より)

長崎県五島市では、離島地域でのドローンを活用した無人物流実証を継続しているが、今回行われるのは福江島から久賀島の診療所までの緊急時を含む配送を想定するもので、通常定期船と陸路で約45分かかる行程を約10分で配送する。武田薬品工業(武田薬品)が処方箋医薬品の提供や医薬品流通シナリオを策定しており、通院困難な患者に対してオンライン診療・オンライン服薬指導実施後に処方箋医薬品を配送する「オンライン診療モデル」と医薬品卸から医療機関への緊急配送を想定したドローン配送する「緊急配送モデル」の2つが行われる。

  • 長崎県五島市福江島港から久賀島(同社資料より)

島全体が他の地域とともにUNESCOの世界遺産(長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産)に認定されている久賀島には1日に定期船5便が航行するが、山を挟んだ島内中央から診療所職員が港まで降りて医薬品などを運搬している。地域の医師会・薬剤師会と協力しながら離島での医療支援や研究・教育に長年にわたり取り組む長崎大学が、医師や看護師、薬剤師との連絡調整を担い、長崎県五島市や協力各社ととともに海をまたいだ離島への医薬品配送の課題に挑む。