IT専門調査会社であるIDC Japanは3月8日、国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。これによると、2020年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比19.5%増の1兆654億円に上ることが分かった。また、2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は19.4%で推移し、2025年の市場規模は2020年比2.4倍の2兆5,866億円になると、同社は予測している。

  • 国内パブリッククラウドサービス市場 売上額予測、2020年~2025年 出典:IDC Japan

また、同社が2020年10月に実施した何らかのクラウドを利用中の企業を対象としたWebアンケート調査「国内クラウド需要調査(Japan Cloud User Survey)」の結果から、企業のIT/クラウド戦略はクラウドを優先的に検討する「クラウドファースト戦略」を有する企業が65.5%となり、2019年10月調査の同58.5%から大きく増加したことが分かった。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響によって、42.3%の企業が「クラウドの利用促進」の重要度が高まったと回答している。

同社は、COVID-19の影響で企業の意識は変わったものの、「企業文化、組織」「人材」「DXビジョン、適用領域の選定」「予算」などの課題によって、多くの企業ではDX/データ駆動型ビジネスの具現化は進んでいないと指摘している。

IDC Japan ITサービスのリサーチディレクターである松本聡氏は、次のように分析している。

「ベンダーには企業のDXを技術面だけではなく、文化や組織の変革を具体的に支援することが求められている。たとえば、技術によってセキュリティを担保しながら、個々の部門でデータを抱え込むのではなく、データの共有や流用の重要性を訴求して活用を促すことである。また、企業のデジタルレジリエンシーの強化を支援するために、ユースケースを軸としてパートナーエコシステムを再構築し、産業全体のイノベーションを目的としたソリューション体制を整備することが重要である」