KDDI総合研究所は3月4日、5Gのシステムと5Gなどの移動通信システムとは異なる無線システムが、近い場所で同じ周波数帯を使用してサービスを提供した場合でも、リアルタイムで干渉を除去し、5G通信を可能とする干渉除去技術を開発したと発表した。同社によると同技術の開発は世界で初めてだという。
これまで、複数の無線システムが同じ周波数帯を利用するには、お互いの通信に対して生じるシステム間干渉を抑えるため、利用する時間をずらすか、それぞれのシステムがカバーするエリアを離す必要があったという。この場合、5Gのサービスエリアやサービス時間が限られてしまうという問題が生じていたとのこと。
同社が開発した干渉除去技術では、5G受信信号に異なる無線システムからの信号が干渉として混信している受信信号から、推定した干渉信号を模擬するレプリカ信号を差し引くことで、干渉信号に埋もれていた5Gの本来の信号を際立たせ、受信品質を改善するという。その際、5Gと共通の受信機能で受信した信号を、異なる無線システムの信号に変換し、レプリカ信号を生成することで、5G受信機の装置規模が大きくなることを抑える。
同社は、開発した干渉除去技術を実装した5G受信機を試作し、屋外での実証実験を通じてその有効性を確認した。試作した5G受信機を屋外で5GHz帯を使用し、通常では干渉により波形が乱れ、5Gの受信がまったく行えないような異なる無線システムからの干渉が強い状況において、誤りなく信号を受信することに成功したとしている。
同社は今後、同一周波数帯を複数システムで共用する際に5Gサービスエリアを拡大するため、同技術の実用化に向けた取り組みを加速していく方針だ。