アマゾン ウェブ サービス ジャパンは2月26日、日本を含むアジア太平洋地域(以下、APAC)6カ国(日本、オーストラリア、インド、インドネシア、シンガポール、韓国)で実施したデジタルスキル調査に関する記者説明会を開催した。

同調査は、戦略・経済コンサルティング会社であるAlphaBetaに委託して実施したもの。今日の労働者が活用するデジタルスキルを分析し、2025年までの5年間に、上記の6カ国で求められるデジタルスキルを予測している。日本では、500人以上のデジタルワーカーを対象とし、テクノロジーの専門家、ビジネスリーダー、政策立案者にインタビューを行ったという。

2025年までに追加で2950万人のデジタルワーカーが必要

調査結果については、AlphaBetaの共同創業者 兼 ディレクターであるフレイザー・トンプソン博士が行った。博士は、同調査について「デジタルスキルに関する調査はたくさん行われているが、今回の調査は2つの特徴を持っている。1つは、デジタルスキルを28と細かく分類して調査を行っている点。もう1つは、各スキルについて、必要となる労働者のタイプも見ている点」と述べた。

  • AlphaBeta 共同創業者 兼 ディレクター フレイザー・トンプソン博士

同調査では、デジタルワーカーを「業務において デジタル技術を活用するスキルを持つ個人」と定義している。デジタルスキルについては、「業務環境や日々の生活で、さまざまな作業に デジタルテクノロジーを活用するために必要な能力、知識 、ノウハウ」と定義しており、「基礎的」「高度」と2種類に分けている。

  • デジタルスキルの分類

調査の結果、APAC6カ国では 、1.5億人近くの労働者がデジタルスキルを活用しているが、日本のデジタルスキルを活用している労働者の割合は58%を占めることがわかった。加えて、テクノロジーの発展と需要に対応するには、日本では2025年までに追加で2950万人のデジタルワーカーが必要であり、労働者は平均して7つのデジタルスキルを新たに身につける必要があるという。

2020年から2025年までの5年間でデジタルスキルを習得する必要のある労働者数は76%増加する可能性があり、これは合計4億7,900万回ものデジタルスキルトレーニングが必要になることを意味しているとのことだ。

博士は、APACで最も需要増が予測されるデジタルスキルとして、「クラウドアーキテクチャの設計」を挙げた。以降、「ソフトウェアの運用支援」「ウェブ/ ソフトウェア / ゲームの開発」「大規模データモデルの作成」「デジタルセキュリティとサイバーフォレンジックツールの開発」が続いている。

  • APACで需要増が予測されるデジタルスキルトップ5

日本では、今後45歳以上の支援策が必要に

注目すべき日本に関する調査結果としては、現在のデジタルワーカーの約半数が高度なデジタルスキルを活用しているが、6割以上が45歳以下であることが紹介された。この結果から、博士は「今後、日本においては、45才以上の人に対し、デジタルスキルに関するトレーニングを提供していくことが重要となる」と指摘した。

一般的に、若手社員はベテラン社員よりもITスキルに長けていると言われているが、なぜ「45歳」が1つの区切りとなっているのかは気になるところだ。博士によると、諸外国では、45歳以上の人々がデジタルスキルについていけない状況があり、45歳以上の人々に対しデジタルスキルに関する支援策が多く行われているのだという。

加えて、博士は日本の調査結果の特徴として、クラウドスキルを活用していないデジタルワーカーの4人に1人以上が、2025年までにクラウドに関するスキルが必要になると予想していることを挙げた。

  • クラウドに関するスキルとは