ワークスモバイルジャパンは2月18日、「2021 LINE WORKS DAY ヒーローはいつだって現場にいる!」と題する、LINE WORKSに関するオンラインイベントを開催した。本記事ではその中から、事例取材の部分を紹介する。

LINE WORKSで現場スタッフの時間を節約

ひまわり在宅サポートグループ在宅部長の若林陽盛氏

ユーザー事例の1つめは「中小企業の働き方改革はツナガル現場から進化する」と題する、介護業界でのLINE WORKの活用だ。

宮城県石巻市の健育会ひまわり在宅サポートグループは、宮城県東部の約900平方キロの地域に9か所の事業所を展開している。訪問看護を中心に訪問介護や居宅介護支援事業を展開し、従業員は180人ほど在籍する。

同グループ在宅部長の若林陽盛氏によると、同社では看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、さらに訪問介護でヘルパーやケアマネージャー、またこれらをサポートする事務というように、多くの職種の職員が働いているという。

介護サービス利用者の状況は日々変化し、それをみんなに発信しなければならないが、従来の電話やFAX、メールでは、情報共有まで時間が掛かるという。LINE WORKSで1つのグループに参加すると、異常があった部位の写真などを全員がすぐに見ることができ、情報共有がスムーズになったと若林氏は語る。

  • 土屋氏が利用者の情報を共有している様子

実際にサービスを担当している土屋氏は情報共有のスピード向上に加え、「事務所での報告が不要になったので、いちいち戻らずに次の訪問現場へ向かうことができるようになりました」と導入効果を語った。

また、事務主任の阿佐野佳奈氏は「LINE WORKSの導入によって、時間短縮できました」と、土屋氏の実感を裏付けた。

石巻市中央地域包括支援センター所長の伊藤清彦氏

同グループは、医療機関や自治体の機関とも連携して業務を行っている。LINE WORKSの活用例を、石巻市中央地域包括支援センター所長の伊藤清彦氏は、「LINE WORKSは、ひまわり在宅サポートグループへのサービスの依頼や、病院から退院患者の情報を受け取る際に利用しています。従来は2~3日ほど要していたのが1日弱ほどで調整可能になり、利用者が困る時間が短くなったことが大きなメリットです」と語る。

最後に若林氏は、「今は競合関係にある他の事業者ともLINE WORKSなどのツールで繋がっていくことで、地域医療を盛り上げていけるようにしたいと思っています」と、将来に向けた展望を語った。

非対面が基本の状況でのコミュニケーションのあり方

出前館 代表取締役社長の藤井英雄氏

2つめは「非対面の時代におけるコミュニケーションの流儀とは」と題して、出前館と中外製薬という、異なる業界での事例紹介だ。

出前館は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響で、加盟店数が2020年12月までの1年間で約2万5000店増加し、それまでの約20年間と比べて倍増した。

同社は、急拡大したタイミングでLINE WORKSを導入している。藤井氏は導入理由を、「加盟店の増加に伴い配送員数もほぼ比例して増えたため、使いやすく円滑にコミュニケーションを図れるLINE WORKSが良いと判断しました」と語る。

ES(従業員満足度)対策の一環として、LINE WORKSの機能を使ったアルバイトを含む従業員に対するアンケートを実施して結果を現場にフィードバックしたり、配達員が建物の入り口や駐車場などがわからない時に画像付きでグループへ投稿して他の人から回答したりといった使い方をしているという。

イベントのテーマである自社のヒーローは「配送員も加盟店もヒーローだと思いますが、甲乙は付けがたいです」と語る藤井氏は、「LINE WORKSを使っているという点では配送員ですが、あまりフィーチャーされません。でも、彼らがいないと我々のビジネスはワークしませんので、さらにやりがいとコミュニケーションを円滑にしてもらいたいなと思っています」と締めくくった。

中外製薬カスタマーソリューション部長の嶋内隆人氏

一方の中外製薬は、主に病院で使用する薬剤を製造する製薬会社だ。製品の70%は注射薬で、残り30%が内服・その他の薬剤だと、同社カスタマーソリューション部長の嶋内隆人氏は説明する。

製薬会社にはMR(Medical Representative)という、他の業界では営業職に掃討する職種があり、病院などの医療機関を訪問して医師などに薬事情報の提供を含む意思疎通をすることが主な業務だ。

しかし、コロナ禍のため訪問もままならなくなったと嶋内氏は嘆く。

「そうした状況で何か違うものを見付けようと行き着いたのが、LINE WORKSでした」(嶋内氏)。 選定理由として、LINEのアカウント所持者が多いこと、金融機関も導入しているほどのセキュリティ面、メッセージに既読が付くといった簡便さの3点を挙げる。

同社はLINE WORKSで、医師に加えて看護師や薬剤師とも繋がっているという。その周知のために、登録用QRコードを名刺に入れたり、オンライン面談の画面にQRコードを入れたりといった工夫をしているとのことだ。

イベントのテーマでもある同社のヒーローは、「やはりMRです」と嶋内氏は断言した。「LINE WORKSで成功事例を共有しており、新しい領域でまだ会ったことが無い医師から連絡が来た時の嬉しさは非常に大きいこと。また医師とのやり取りで薬剤の使用報告を受けられるのはMRがヒーローだなと思う部分ですが、それを社員で共有できる点でも、LINE WORKSはいいツールだなと思っています」と、嶋内氏は語った。

コミュニティ速度向上で受注件数増も

圭電工業 専務取締役の岸浩光氏

最後は、LINE WORKSを組織作りに生かしている、横浜市の圭電工業と関西でスーパーマーケットを展開している三杉屋の事例だ。

圭電工業は電気工事や通信工事、また関連して警備事業も手掛けている。社員は55人、協力会社を合わせると総勢139人となり、日々動いている案件が40件ほどあるため、ほぼ全員が違う場所で働いている。

同社の特徴として、自社の社員に加えて協力会社のスタッフにもアカウントを発行している点が挙げられる。

現場からの連絡に対する本社側の対応について、同社専務取締役の岸浩光氏は「困ったことやわからないことはトーク機能で写真や動画を送ってもらい、それを見て対応しています」と説明する。 プロジェクト単位でグループを作成できるため、関係者だけでカレンダーやトークを共有したり、ノート機能での周知事項の通知も行っているそうだ。

電話やFAXなどを使っていた従来の手法と比べ、「作業の遅延やトラブルが減り、また複数やり取りができスピードがとても速くなったので、3~4割くらいは受注件数が増えています」(岸氏)という。

さらに、経費精算でも導入メリットがあったとのことだ。 岸氏は「経費関係や必要書類などをPDFや写真で送れるので、帰社する必要がありません。コロナの状況にも合っていると思います」と、その効果を語った。

全従業員の意識共有や仕入れ判断、労力軽減にも貢献

三杉屋 経営企画部部長 兼 総務人事部部長の大朝理充氏

三杉屋は兵庫・大阪・京都にスーパーマーケットを26店舗展開し、各店舗が地域に合わせた店作りをしているのが特徴だ。

同社の経営企画部部長 兼 総務人事部部長の大朝理充氏によると、同社では全従業員に全店舗の前日の売上を、翌日の午前中までにLINE WORKSで配信し周知しているという。また、毎月外部の監査会社に衛生監査の結果をグループへ上げてもらい、これも全社員が見られるとのこと。

「自店だけで満足するのではなく、他店の状況を見ながら足りないところや強みを共有できるのが、いいことになったなと感じています」と、大朝氏は導入メリットを語る。

ホームズ南津守店 青果担当の新畑輝幸氏

同社では、商品の仕入れや販売価格の決定、売場作りにもLINE WORKSを活用している。ホームズ南津守店 青果担当の新畑輝幸氏によると、「バイヤーが商品情報の写真付きで送ってくれるので、それを見て販売価格はだいたい何円というふうに使っています」「他の店舗の売場やレイアウトを共有するグループがあるので、売場のレイアウトを参考にしています」という。」

「毎朝バイヤーから安い商品の情報が流れて来るので、そこで仕入れていち早くお客様にお買い求めやすい価格で提供でき、スピード感があっていいと思います」と、同氏は語った。

店長の宇髙義博氏

LINE WORKS導入の恩恵は、店舗の責任者である店長にとっても大きかったようだ。 同店店長の宇髙義博氏は、「当社には現場主義という特徴があって常に現場で仕事をしなければならないのですが、以前は電話やメール、FAXなどがあると2階の事務所まで上がらなければならず不便でしたが、今は全て現場内でできるようになったので、非常に便利に使っています」と、導入メリットを語る。

さらに宇髙氏は、現在はスマートフォンで対応できるため、「休日に本社からの重要な連絡などがあった場合、以前は店舗で対応することもあったが、今はLINE WORKSで皆に流して既読確認できるようになったので、休日にゆっくり休めるようになりました」と、導入による変化を語った。