2020年に台風が上陸しなかったこともあり、ここのところ水不足が続いている台湾だが、半導体の製造に大量の水を必要とするTSMCが専門業者を手配して、23日より自社ファブに給水車で水の搬入を開始したと複数の台湾メディアが伝えている。
台湾当局は、2021年も6月の梅雨の時期までまとまった雨量が見込めないとして、広範囲で給水制限を実施。2月25日からは、工業用水の大口使用者に対する給水制限を従来の7%から11%へと引き上げており、今回の動きは、こうした制限を受けてのものと思われる。すでにTSMCのほか、UMCやVISといったファウンドリ各社も23日より給水車での水の搬入を開始している模様である。
TSMCの本社・事業拠点がある新竹市に水を供給する宝山代二水庫(ダム)の貯水率は2月25日前後で14%程度とかなり低くなっているが、今後さらに1桁台まで下がることが予想されている。
なお、TSMCでは1日あたり15~20万トンの水を消費しているとされているが、給水車1台が運べる水の量はせいぜい20トン程度だという。現在、同社には世界中から生産委託が殺到しており、各ファブともフル稼働状態にあるが、長期的に見て、こうした給水車による水の供給だけで果たして工場の稼働が継続できるのか、危ぶむ声も業界内からは聞こえてきている。