シスコシステムズは2月24日、1月25日付けで副社長の中川いち朗氏が代表執行役員社長に就任したことを受け、2021年度下半期(2021年2月~7月)のシスコジャパンの事業戦略について説明した。

中川氏は冒頭、同社のビジネス状況について、「2020年度もコロナの影響はあったが堅調な成長を達成した。シスコジャパンは2年連続でシスコ内でのCounty of the Yearを受賞した。とくに、サービスプロバイダ事業、5G事業、BCPやリモートワーク対応、GIGAスクールが成長した」と語り、好調さをアピールした。

  • シスコシステムズ 代表執行役員社長 中川いち朗氏

そして同氏は「時代が変わろうとするこのタイミングは、脅威ではなく、ニューノーマルに向けた新たな世界を築くチャンスだ」と語り、下半期の重点戦略として、「日本企業のデジタル変革を支援」「日本社会のデジタイゼーションに貢献」「お客様のライフサイクルすべてを支援」「新たなパートナーモデルの実装」の4つを挙げた。

  • 下半期の重点戦略

日本企業のデジタル変革を支援については、「コロナ禍の環境は一過性ではなく、元には戻らない。ニューノーマルの働き方はハイブリッド型になり、マルチアクセス、マルチクラウドを前提としたインターネット中心のネットワーク環境になる。このような複雑な環境下では、インフラの可視化、分析、自動化、全体最適が重要だ。シスコはCisco Digital Network Architecture(DNA)を通して、企業のネットワークをどこからでもアクセスできるマルチアクセス、アプリパフォーマンスの最適化(アプリケーションセントリック)、インテントベース(ユーザー意図)でのインフラ統合管理、Zero-Trustの4つの視点で構築する」と説明。

  • シスコが目指すCiscoSecureWorkfrom Anywhere

「日本社会のデジタイゼーションに貢献」では、2月12日に発表したカントリーデジタライゼーションを実施するとした。

カントリー デジタイゼーション(Country Digitalization Acceleration (CDA))とは、シスコが事業展開する国々への中長期的なコミットメントと投資を実施し、デジタル化を通じて国の課題解決や経済成長への積極的な関与と貢献を行うプログラム。

このプログラムでは、下図の7つの分野に注力するという。

  • カントリー デジタイゼーション

「お客様のライフサイクルすべてを支援」は、シスコ自身のビジネスモデル変革だという。

「企業は構築型から利用型へシフトし、導入後の活用支援を要望されるケースが増えてきた。従来のシスコは需要喚起から購入までに注力してきたが、今後は導入後の最適化や活用に軸足を置いていく。そのための部隊としてカスタマーサクセスを設立した。また、今期からソフトウェア&サービス営業部門を設立した。カスタマーライフサイクルアプローチこそがシスコの新たなビジネスモデルだ」(中川氏)

  • カスタマーライフサイクルアプローチ

先日の「新たなパートナーモデルの実装」の発表は、このためのものだという。

  • カスタマーライフサイクルアプローチ

前社長でシスコ アジアパシフィック ジャパン アンド チャイナ プレジデント デイヴ・ウェスト氏は、社長時代の一番の実績は何かと問われ「もっとも誇らしいと思う実績は、カルチャーの変革が実現できたことだ。自分たちの存在意義によって社会に貢献できる、そういうカルチャーをもっているということだ」と語った。

  • シスコ アジアパシフィック ジャパン アンド チャイナ プレジデント デイヴ・ウェスト氏

また同氏は、コロナ禍におけるIT市場の今後については、コロナ禍でデジタル化の重要性の認識が高まった。経済状況は各社によって異なるが、企業はデジタルテクノロジーを活用して事業を加速し、収益性をアップさせていくことを追求していくだろう。今、デジタル化の波の初期段階にある」と述べた。