パナソニックとパナソニック システムソリューションズ ジャパンは2月17日、新事業「現場マルチネットワークサービス」の提供を2021年4月1日より開始すると発表した。また、同事業を推進するため全体のハブ機能を担うネットワークサービス事業センターを立ち上げる。2021年1月13日にSAシステムの実験試験局免許を取得したといい、ローカル5Gを体感するフィールドとして「ローカル5Gラボ(仮称)」を2021年春頃より公開する予定だ。
「現場マルチネットワークサービス」では、プライベートLTEやローカル5Gなどローカルネットワークと、タブレット端末やネットワークカメラなどのエッジデバイスと、画像センシングなどのソフトウェアに、防災などの現場で使われてきた無線インフラを支える知見、体制を組み合わせ、様々な業界の企業に提供を行う。両社は今後、様々な業界のパートナー企業と共創し、ビジネスモデルの構築を進める方針。同事業により2025年に累計1000億円の販売を目指す。
無線ネットワークについて、プライベートLTEは自営等BWAに加え、2021年6月にsXGPを発売予定しており、ローカル5G(Sub6・SA)は2022年4月より発売開始する予定だ。なおローカル5Gは、認証・セキュリティ管理、セッション管理、ポリシー制御などの機能について、必要な機能、規模に絞った仕様とすることで、コアネットワーク装置と基地局の組み合わせで従来の5分の1以下の価格での提供を予定しているという。Wi-Fiは、IEEE802.11ac用アクセスポイントは実用化済みで、Wi-Fi6も2021年10月より販売開始される。
また両社は、このような複数のネットワークを統合的に管理・運用するマルチアクセス技術の開発に着手している。その第一段階として、複数のPLMN-ID(携帯電話の国際的な識別番号)を認証するLTEコアを2021年6月より販売を開始する。共通のLTEコアで自営等BWAとsXGP、それぞれのシステムのSIMを認証することができるため、これらのネットワークの統合的な管理が可能になるという。これにより、例えば屋外などの広域エリア(自営等BWA)から、屋内エリア(sXGP)においてシームレスな移動が可能だ。
第二段階として、2022年4月発売予定のローカル5Gにおいては、LTE・5Gに加え、SIMを搭載しないネットワーク機器(Wi-Fiなど)も統合的に認証することが可能な5Gコアを導入するとしている。5Gコアで様々なネットワークの制御を一元管理することで、複数のネットワークを統合的に運用しつつ、通信方式が異なる端末ごとのQoS(Quality of Service)制御も可能になるという。
マルチアクセス技術だけでなく、ビデオカメラなど映像機器で培った画像圧縮など関連要素技術に加え、HDコムなどのテレビ会議システムで培った画像伝送技術を活用し、変動が大きい無線回線でも、低遅延、滑らかな画像を伝送するという技術を導入する。さらに、電波伝搬シミュレーション技術も導入。導入企業の環境にて電波伝搬測定、周囲との干渉調査など、システムを導入する際に必要な作業支援ができるとしている。
ソフトウェアやアプリケーションに関しては、現場センシングソリューションのような画像認識やタブレット端末のアプリケーションなどを提供する。物流現場で荷分け作業の効率を上げたい場合に、カメラを通じて作業者の移動距離をセンシングしたり、仕分けする荷物側にプロジェクターで種別を投影したりするなど、現場に応じたソリューションを提供する。今後はローカル5Gを活かした多数のカメラセンシングや機器の遠隔操作などのサービス構築を進める方針。
また、将来5Gとの接続機能を搭載していく予定であるタブレット端末やウェアラブルカメラなどや、ゲートウェイ機器をつないで5Gにつながるセキュリティカメラなどに加え、自社開発ではない様々なエッジデバイス(AGV・業務用ロボットなど)も通じてデータを取得するといったことも行う。
同サービスの提供価格については、機器費用および導入・構築サポートについては個別見積で、運用サポートは月額12万円からとなっている。