MM総研は2月15日、国内で利用されている主なRPA(18製品)を対象に、導入率推移、満足度、今後の利用意向などを分析した調査レポートを発表した。
今回、MM総研が発表したレポートは、2020年12月28日〜2021年1月7日、国内企業2,000社(年商50億円以上 958社、年商50億円未満 1042社)を対象に実施したWebアンケートの結果をまとめたものだ。
それによると、年商50億円以上の企業の導入率は37%と前回調査(2019年11月)から大きな変化は見られなかったという。企業は新型コロナウイルスの流行により、IT投資を在宅勤務の環境構築に振り向けたためだと同社は推測。準備中・検討中企業の割合も9ポイントほど下がった一方で、導入済み企業でのRPA活用度は上がっているという。
また、RPAの活用部門数や業務数が「増えた」が47%、「減った」は14%であったという。コロナ禍で限られた従業員での業務遂行や在宅での作業効率化に向け、RPAを活用するケースが増えているためと同社は見ている。
年商50億円未満の企業については、2021年1月時点での導入率は10%で、準備中・検討中企業は25%、未検討の企業が64%となった。この構成は、年商50億円以上における2017年の中頃の状況と酷似し、RPAの認知が広まれば導入率も大きく伸びる可能性があると同社は推測する。2022年度末時点で予測される導入率は、年商50億円以上の企業で50%、年商50億円未満では28%だとした。
企業のIT投資について、2021年度に「前年よりも増やす」と回答した企業が約3割、「減らす」企業は約1割で、RPAに対する投資を「増やす」企業は約4割であったという。
このほか、RPA導入を押し上げる要因として、クラウド型RPAなど安価なツールや自動化ニーズの高い業務をRPA化した製品などの登場を挙げ、2021年度に政府が予定しているDX投資促進税制により、企業はクラウドを基本としたシステム投資や自動化の活用をさらに加速させる可能性があるという。
RPA導入企業では利用拡大意向を持つ企業が8割と高く、46%がRPA推進部門を設置。その役割は、開発・運用のルール作成、活用事例発信、ユーザー部門の教育などで、RPAユーザーが課題として挙げるのが「従業員の理解」だという。推進部門の現状は、情報システム部門が主要メンバーになっていることが多く、ユーザー部門などを巻き込んだ混成チームを組めている企業は1割ほどだということだ。
また、自動化範囲を広げる取り組みとして、RPAユーザーはAI関連のソリューションを組み合わせている。代表的なのがAI-OCRで導入率は21年1月時点で7%と少ないが、RPA導入企業に限れば導入率は15%、検討中企業も50%と多く、AI-OCRの市場はRPAをテコに広がりそうだいう。なお、AI-OCRのシェア1位はAI-Insideの「DX Suite」で21%、2位がNTT東日本の「AI よみと〜る」で13%、僅差で3位がキヤノンITソリューションズの「Capture Brain」で12%となった。