リコーは2月2日、オンライン会議の様子をテキスト、音声、画面キャプチャでまるごと記録し、可視化するクラウドサービス「toruno(トルノ)β版」のテスト販売を開始したと発表した。

同社がOA機器メーカーからデジタルサービスメーカーへと進化する中で生まれてきた新たな取り組みの1つで、企画から半年程度でサービスの公開に至ったという。発端は、オンラインツールが活用されるようになってきたが、実際にあって話す場合とは異なり、空気感や表情などを即座に感じ取ったりすることが難しいと感じたことで、そうした情報をテキストや音声、画面キャプチャとして残すことで、可視化することで、あの時、誰がどういった発言をどういった状況で行ったのか、といった議事録的なものを手軽に作成できることを目指したという。

「記録アプリ」と「記録ログ確認」の2つのWindowsアプリ(ブラウザはGoogle Chromeを推奨。PCのスペックとしてはCore i5以上、メモリ4GB以上、Windows 10 Proを推奨としている)で構成されており、オンライン会議の内容のテキスト化などには記録アプリを用い、会議終了後の確認には記録ログ確認と使い分ける形となっている。

文字情報はテキストデータとして、音声ファイルはmp3、キャプチャ画像はjpgでそれぞれ別途保存が可能。動画を採用しなかったのは、オンライン会議ツールそのものに録画機能が搭載されているものが多く、そこと被る必要がないという判断と、帯域の圧迫を抑えるためだという。

  • toruno

    記録用のデスクトップアプリケーション。リアルタイムで発言の文字起こしを実現する

現段階ではβ版ということもあり、音声認識の精度はクローズドのテスト段階ではおおむね好評であったとしており、それなりに高いことが確認されているが、会議などの場合はその実施環境に左右されることもあるため、そのまま議事録として利用するのは難しいとしており、あくまでテキストデータをベースに、会議内のどの時間帯でどういった発言があったのかといったものを可視化するツールとしての利用を想定しているという。

  • toruno

    会議ログはクラウド上で管理されており、文字起こしされたテキストのみならず音声や一定間隔で取得された画像キャプチャがセットで表示される

また、独立したアプリであるため、ZoomやTeamsなど、オンライン会議ツールそのものと自由に組み合わせて利用することも可能となっている。

さらに、発行されたURLとパスコードを共有したいユーザーに知らせることで、データの共有も可能となっている。

なお、同サービスは現段階ではβ版ということもあり、複数人の発言をAIで分析して分けるといったことはまだできないが将来的には音声認識精度の向上を含め、ユーザーからの声を聴きながら機能強化として検討していきたいとしている。

また、主な対象ユーザーはあくまでビジネスパーソンで、使ってみたいと思った人に使ってもらう、という形で、法人対応は将来的に検討していきたいとしているものの、現時点では対応の予定はないとしているほか、正式版のリリースについても、β版でのユーザーの増え方や反響などを見ながら判断していきたいとしている。

利用プランは記録可能時間が3時間の無料プランと、月額1500円で10時間分の録音が利用可能な有料プラン(10時間を超えた分は従量課金)の2種類が用意されている。

オンライン会議まるごと記録システム「toruno」