ガートナー ジャパンは2月1日、世界のCIOを対象に実施した2021年のCIOアジェンダ・サーベイの結果から、日本企業のデジタル化の取り組みは加速しているものの、世界より約2年の後れを取っているとの調査結果を発表した。
ガートナーが世界のCIOを対象に実施した2021年のCIOアジェンダ・サーベイの結果から、世界の企業の中でデジタル・ビジネス・トランスフォーメーションが「成熟」段階にある割合は、2018年の33%から2020年の調査時には48%へと増加したという。一方で、「成熟」段階にある日本企業の割合は、2018年の23%から2020年には37%へと上昇したということだ。
また、同調査では「デジタル由来の売り上げ」と「デジタル化されたプロセス」の両方の割合を比較した。それによると、日本企業は現時点で、全業界において世界のトレンド・ラインより約2年の後れを取っていることが明らかになったという。
各テクノロジ領域における投資の増減について、調査対象となった世界のCIOは、サイバーセキュリティ/情報セキュリティ (61%)、ビジネス・インテリジェンス/データ・アナリティクス (58%)、クラウド・サービス/ソリューション(53%)の順で投資を増やすと回答。一方、日本の企業のCIOは、クラウド・サービス/ソリューション(60%)への投資を増やすと回答した割合が一番多く、続いて基幹システムの改良/刷新(59%)、サイバーセキュリティ/情報セキュリティ(57%)を挙げているという。
また、テクノロジ投資の動向について、日本企業のCIOと世界のCIOには明らかな違いが見られるという。1つ目は、日本企業のCIOは「基幹システムの改良/刷新」への投資を重視している点です。日本企業のCIOの59%が投資を増やすと回答しているのに対し、世界での割合はわずか36%であり、10%は削減すると回答しているという。
2つ目の違いは「ビジネス・インテリジェンス/データ・アナリティクス」への投資で、世界の企業のCIOの58%は同領域への投資を増やし、投資増加領域として第2位となっている一方で、日本企業のCIOはわずか48%しか同領域への投資を増やさず、投資増加領域として第5位にとどまっているということだ。
同社は、デジタル・ビジネスをより速く進展させ、グローバル環境における自社の競争力を高めたいと考えている日本企業のCIOは、以下の3つのアクションを実行すべきだとしている。
自社の製品/サービスへのフィードバックを継続的に求めることで、より積極的かつ直接的に社外の顧客に関与する。
オペレーションの効率化、新たな収入源の創出、カスタマー・エクスペリエンスの向上を目的としたテクノロジ・ソリューションを提案することで、弾力性 (レジリエンス) と比較的反脆弱性 (アンチフラジリティ) がある状態の達成を支援する。
ITのリーダーシップを多様性と組織文化の変革に集中させてデジタル・ビジネス・トランスフォーメーションを加速させ、ポジティブ・フィードバックを提供することで、さらに前向きな職場環境をもたらす。