バックオフィス部門において業務効率改善や生産性向上に繋がるシステムやツールの導入状況は企業の従業員規模により大きな差が生じており、導入済みの企業でも4割近くがその効果を感じていないという。ラクスが1月28日に発表した「システム・ツール導入に関する意識調査」の結果による。
同調査は同社が全国のバックオフィス部門(経理、会計、総務、人事、情報システム)担当の会社員を対象にインターネットにより1月9日から11日にかけて実施したもので、有効回答数は1600サンプル。
政府が2回目の緊急事態宣言を発令した1月8日から解除予定である2月7日までの在宅ワークの予定を調べたところ、58.8%が全て出社または在宅ワークは週1日未満と回答した。 バックオフィス部門では半数以上で在宅ワークが定着していない実態が浮き彫りになった形だ。
業務効率改善や生産性向上に繋がるシステムやツールの導入状況を見ると、従業員50人未満の企業で「当てはまるものはない」との回答が約52%に上り、従業員数で導入率に大きく差が開いている。
当てはまるものはないという回答者に導入しない理由を複数回答で尋ねたところ、「導入の必要性を感じない」が31.8%と最多だった。 一方、「経営者や上層部の知識、理解不足」(29.7%)や「費用対効果がわからない」(28.4%)との回答も多く、社内の説得がしやすいような効果の提示など、根強い課題が残っていると同社は指摘する。
システムやツールを導入している回答者に効果を感じているか尋ねると、「とても感じている」と「感じている」の合計は55.8%と過半数に達したが、「あまり感じていない」と「全く感じていない」の合計も38.1%と多い。 導入時の期待に対する効果が実際に得られているかという質については、導入済みの企業間でも差が生じている結果となった。
効果を「とても感じている」「感じている」と答えた回答者にどのような効果を感じているか聞くと、「業務効率を改善することができた」が最も多く、「仕事がスムーズになりストレスが減った」が続く。 また、1日にどの程度労働時間を短縮できたと感じるかを尋ねたところ、約7割が「2割以上の削減」に繋がったと回答している。
今回の調査結果を受けて同社は、システムやツールの導入を始めとするデジタル化において、未だ量的な格差や導入に際しての根強い課題感が残っていることが明らかになったとみている。
また、導入率という量的な差に加えて、「導入後にうまく活用して効果を出せているか」という質的な差にも注目し、解決すべき課題として捉え直すことが必要になるのではないかと同社は指摘する。