Gartnerは1月28日、2021年の世界のIT支出総額が、2020年から6.2%増の3.9兆ドルに達するという見通しを発表した。

2020年のIT総支出額は2019年から3.2%減少したが、これはCIOがパンデミックの初期段階に必要不可欠なテクノロジやサービスへの投資を優先したためだとしている。

  • 全世界におけるIT支出予測(単位:百万米ドル)

    全世界におけるIT支出予測(単位:百万米ドル)

2020年は、前例のないスピードでDXが加速し、ロックダウンとソーシャル・ディスタンスへの対策は、2021年に向けたIT支出に対するパンデミックの負の影響を緩和する結果になったという。

IT支出は全セグメントにおいて2021年に増加が見込まれ、エンタプライズ・ソフトウェアはリモートワーク環境の拡大・改善に伴い最も回復が見込まれるという。デバイスは2番目に高い成長を遂げ、その支出は7,054億ドルに達すると見込んでいる。

また、2024年まで企業はCOVID-19後の存続のため、DXを少なくとも5年以上は加速せざるを得ないとし、リモートワークに関連する世界のIT支出は2020年から4.9%増加し、2021年には3,329億ドルに達する見通しだとしている。

政府の医療介入は2021年中も必要となる見通しであるのに加え、Brexitや米中経済摩擦などの地政学的要因も、一部地域の回復を阻害すると予測する。世界的なIT支出が2019年のレベルに戻るには2022年までかかり、飲食、旅行、エンタテインメントといった人が集まる産業は、長期的に低迷するとGartnerは予測している。

同社ディスティングイッシュト バイス プレジデントのJohn-David Lovelock氏は、次のように述べている。「CIOは2021年、キャッシュ・フローの維持とIT支出の拡大との間でバランスを取る必要があります。経済が確実な水準に戻りつつある今、企業は現在の収益レベルではなく、成長への期待に沿うIT投資を行っています。価値実現までの時間が短いITプロジェクトを中心に、デジタル・ビジネスは2021年に向けてより多くの資金と経営層からの注目を集めるでしょう」