Samsungが米国内5か所を候補に新工場建設を検討

Samsung Electronicsが最大170億ドルを投じ、米国アリゾナ州、テキサス州、ニューヨーク州のいずれかに先端プロセスを採用する半導体工場を新設することを検討しているとWall Street Journal電子版が22日付け(英語版)で報じている。

それによると、Samsungはアリゾナ州フェニックス周辺の2か所、テキサス州オースティンとその周辺の2か所、ニューヨーク州ジェネシー郡西部の工業団地の計5か所を候補として検討しているという。Samsungからコンタクトのあったアリゾナ州グッドイヤー市の当局者によると、Samsungは1900名の雇用を計画しているという。

この投資を実際に実行するかどうかを決定する際には米国政府からの補助金が得られることが重要な要素になるが、すでに米国進出を決めたTSMCのアリゾナ工場の件も含め、米国半導体製造強化法案が審議中ということもあり、まだ具体化していない。

最有力はテキサス州オースチンか?

一方、米国の経済メディアであるBloombergは、1月22日(米国時間)付けで、米国に100億ドルを超える投資を行い、最先端プロセスを採用したロジック半導体工場をテキサス州オースチンに建設することを検討していると伝えた。

Samsungの内部事情に詳しい関係者からの情報だとしており、米国に大型投資を行うことで米国顧客を増やし、業界の先頭を走るTSMCに追い付く契機としたい考えだという。

TSMCはアリゾナ新工場にて5nmプロセスを提供する予定であるため、Samsungは先回りして3nmプロセスを提供する計画だという。早ければ2021年内にも着工する予定で、多数のEUV露光装置が設置される見込みだという。

すでに2020年11月時点で、Samsungの米国現地半導体製造子会社Samsung Austin SemiconductorがEUV製造棟の増設を検討していることが噂され、さらに2021年1月中旬には、同社が隣接地を産業用地として買収する動きを見せている。ただし、Samsungは「米工場建設計画に関してはまだ何も決定には至っていない」とコメントするにとどまっている。

なお、Samsungは、2030年までに世界一のファウンドリを目指すという方針を公言しており、TSMCの米国進出に対抗するための米国新工場建設の検討はかなり具体的なところまで進んでいる模様である。