日立製作所は12月22日、建物や設備、サービスごとに再生可能エネルギー由来の電力で稼働していることをデジタル技術で可視化するシステムを開発したと発表した。

同システムは2月1日から中央研究所(東京都国分寺市)内に導入し、設備やサービス単位での使用電力が100%再生可能エネルギーであることを「Powered by Renewable Energy」として証明するシステムの運用を開始する。

同システムでは、スマートメーターとブロックチェーン技術を活用することで、建物や設備ごとの単位で、再生可能エネルギーがどの程度使用されているかを可視化する。

未来投資本部 デジタルグリッドプロジェクトリーダ 青木雅博氏は、企業活動全体で環境価値の創出を加速するために、2030年度日立グループの事業所(ファクトリー・オフィス)におけるカーボンニュートラルの達成を新たに宣言したと説明した。

この宣言を実現するため、「製品設計・プロセス見直し」「製造設備の省エネルギー化」「再エネ設備・再エネの使用」に取り組んでいる。そして、省エネに関する取り組みだけではCO2削減の目標値達成は困難であるとして、経済負担を抑制した環境電力メニューの実現をデジタル技術によって目指しているという。

  • 日立製作所 未来投資本部 デジタルグリッドプロジェクトリーダ 青木雅博氏

同サービスの特徴の1つが、設備やサービスごとに再エネ利用を可視化できることだ。従来は、組織全体でしか再エネ利用率を可視化できなかった。

また、「Powered by Renewable Energy」とは、機器やサービスで用いる電力が再エネ由来であることをデジタル証明することで商材のPRや提供企業の環境訴求を効率化するサービスだ。「Powered by Renewable Energy」では、対象の機材やサービスに再生エネルギーを利用していることをアピールできるマークを入れることができる。

青木氏は「企業が再生可能エネルギーを利用していても、それを消費者に示すとは難しい。しかし、Powered by Renewable Energyのマークを再生可能エネルギーで走行しているタクシーに張れば、利用者に知らせることができる」と語った。

  • Powered by Renewable Energyの概要

  • Powered by Renewable EnergyとRE100の関係性

日立の国分寺サイトでは、協創の森にPowered by Renewable Energyを協創棟の再エネ使用率100%を可視化したという(サイト全体ではRE20相当の再エネを導入)。

  • 国分寺サイトの協創の森におけるPowered by Renewable Energyの導入状況

  • Powered by Renewable Energyのデータを閲覧できるWebサイト

青木氏によると、再生可能エネルギーの利用状況を可視化するサービスは既にあるが、デジタル技術を用いて自動的に管理できるのは日立のサービスが初めてだと述べた。

さらに、青木氏は同サービスを利用するメリットについて、「Powered by Renewable Energyによって、再生可能エネルギーの利用を周知することで、エンドユーザーに付加価値を与えることができる。Powered by Renewable Energyのマークを見ることで、再生エネルギーを利用した商品を選択することが可能になる」と語った。

なお、日立では再生エネルギーを営利目的に利用することは考えておらず、他のシステムを導入する際のオプションのような位置づけだとのことだ。