フィックスターズは1月22日、エッジでAIアプリケーションを活用するためのシステム開発の効率を向上させることを可能とするクラウドプラットフォーム「GENESIS DevEnv」の販売を開始したと発表した。

近年、汎用プロセッサの動作速度の向上は鈍化しており、性能向上はマルチコア化が担ってきた。一方、エッジAIにおける物体認識処理に対する要求性能は高まる一方で、より高い性能を実現するために、半導体ベンダ各社を中心に専用AIチップを提供するといった形で対応を図る状況となってきた。

システム開発においては、そうした専用ハードウェアの性能を引き出すことで、パフォーマンスを向上させることが求められるが、そのためにはASICやアクセラレータのアーキテクチャなどを理解することが求められ、多くのソフトウェアエンジニアにとっては難しいという課題があった。

こうした先端AIチップを使いこなせる人材は常に不足傾向にあるが、この問題を解決できなければ、企業の競争力を確保できないという事態に陥る。

GENESISは、こうした課題を解決することを目的に開発されたエッジAIシステム開発・評価向けクラウドプラットフォームで、これまでフィックスターズが顧客企業向けに提供してきたソースコードを高速化する技術などを背景に、高速化と開発の容易化を両立することを目指しSaaS形式で提供されるものとなっている。

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    GENESISプラットフォームが提供する価値 (提供:フィックスターズ)

これによりシステム開発者は、アプリケーション開発におけるデバイスの選定、アプリケーションの実装、コンパイル、性能評価といった人手を介する部分の自動化が可能になり、同社内部での実証実験では最低でも開発効率を10倍以上向上させることに成功したという。

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    GENESISを用いてシステム開発を行った場合、従来手法に比べて10倍以上の効率向上が可能になるという (提供:フィックスターズ)

その特徴は以下の4点となる。

  1. ノーコードとテンプレートで高速開発
  2. 必要なデバイスは自動で判断
  3. デバイスセットアップ不要で評価可能
  4. 高速化済みアプリを簡単にデプロイ

中でもコードの記述が不要で、すでに用意されたテンプレートを組み合わせて開発ができることで、プログラムに詳しくなくてもアプリケーションを開発することができるようになるという。

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    ソースコードを記述せずに、用意されたテンプレートやビルディングブロックを組み合わせるだけで所望のアプリを構築することができる (提供:フィックスターズ)

また、フィックスターズがデータセンター内に必要なデバイスをすでに配置しており、ニーズに応じて自動的にハードウェアが選択されるため、開発者側でデバイスを用意してセットアップを行うといったことをしないで済み、アプリケーション開発に集中することができるようになるという。

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    独自技術によりハードウェアについても自動で最適なものを選択することが可能となっている (提供:フィックスターズ)

サービス開始時に提供されるハードウェアはNVIDIA、Xilinx、Intel、Googleの4社のチップを搭載した5製品。将来的にはRISC-VやFPGA SoCにも対応する計画だという。

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    サービス開始時点の対応ハードウェア。多くのエンジニアや企業などからのヒアリングをもとに選定したという (提供:フィックスターズ)

利用にあたっては、商用利用ができないがすべての機能を無料で試すことができる「トライアル版」と、利用者1人あたり月額1万円(税別)のサブスクリプションで商用利用が可能になる「Basic版」の2種類の料金プランを用意。より複雑な構成になる場合は、受託開発へと発展させることも可能だという。

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    料金プランは2種類。商用利用が不可能なトライアル版と商用利用が可能なBasic版にわかれている (提供:フィックスターズ)

なお、同社では今後も引き続き、対応ハードウェアの拡充のみならず、ビルディングブロックやテンプレートの拡充も図っていくとしており、さまざまな産業分野からのニーズに対応していくことで、GENESISの事業で中期的には10億円の売り上げを目指すとしている。

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    今後もサービスの拡充を図っていくことで、さまざまな産業分野のニーズに対応していくという (提供:フィックスターズ)