IDC Japanは12月22日、国内第3のプラットフォーム市場(ハードウェア、ソフトウェア、サービス、通信サービスを含む)を調査し、2020年~2024年の市場予測を発表した。
このレポートは、国内の産業を17種類の企業、および中央官庁、地方自治体、教育、消費者の4種類の非企業の計21の産業分野に分類し、それぞれの第3のプラットフォーム支出額実績と予測を記載したもの。
それによると、2020年の国内第3のプラットフォーム市場の市場規模(支出額ベース)は15兆9,829億円となり、前年比成長率はマイナス0.1%が見込まれるという。
2020年は2019年のノートブックPC特需の反動に加え、COVID-19が第3のプラットフォーム市場の成長にとって大きなマイナス要素となり、2021年は経済活動の回復に伴って同市場の前年比成長率は7.4%のプラス成長に転じるとIDCは見ている。2024年には21兆1,202億円に達し、2019年~2024年の年間平均成長率は5.7%になると予測しているということだ。
IDCでは、国内第3のプラットフォーム市場を、企業分野、非企業分野、消費者分野に分類し、同市場を分析。中長期的に第3のプラットフォームを牽引するのは企業分野だが、2020年単年の成長率では、非企業分野である中央官庁/地方自治体が企業分野全体(前年比成長率3.2%)を上回るとしている。
教育を含む非企業分野は、ICT活用による公務員/教職員の在宅勤務採用の動きや文部科学省によるGIGAスクール構想の推進もあり、COVID-19を契機にIT投資に対する意識が変化しているという。
消費者は、モバイルデバイスの普及率の高さと国内人口の減少により急速な市場拡大が見込めなかったところに、COVID-19による個人消費の押し下げが加わり、2020年~2024年の予測期間を通じて緩やかな成長に留まると予測され、今後のCOVID-19の状況によってはさらなる成長率の低下の可能性があるということだ。
同市場を産業分野別に分析すると、2020年の成長率が最も低くなる3つの産業分野は「個人向けサービス」「卸売」「運輸」となる。一方、最も高くなる3つの産業分野は「医療」「中央官庁」「地方自治体」だと予測する。これらの3分野はCOVID-19が第3のプラットフォーム支出に与える影響が比較的小さいことに加え、COVID-19を契機として業務環境の高度化/効率化に向けたシステム整備が進んでいると考えられるとしている。
同市場を従業員規模別に見ると、従来第3のプラットフォームに対する支出の成長率が低い従業員規模1~9人、10~99人のセグメントにおいては、2020年はマイナス成長になると予測。
ポストCOVID-19の環境においては、事業継続性視点によるデジタル活用が進むとIDCはみている。
IDC Japan ITスペンディンググループのリサーチマネージャーである敷田康氏は、COVID-19が多くの企業の経営層の事業継続性に対する認識を新たにした状況を踏まえて、ITサプライヤーに対して次のように述べている。「特にCDO(Chief Digital Officer)やCIOを含む事業責任を負う経営層にアプローチできるケースにおいては、パンデミック、災害、貿易紛争などの不測の事態にレジリエントに対処できる事業継続性視点によるデジタル活用を提案すべきである」