パナソニック ライフソリューションズ社は1月18日、ラムサの西豊彦代表取締役及び東京都市大学建築都市デザイン学部建築学科の勝又英明教授と共に、劇場・観覧施設の最適な計画・運用を支援する設計評価手法「View-esT(ビューエスト)」を確立し、現在特許を申請していると発表した。

  • 見え方シミュレーションのイメージ

劇場やホールなど観覧施設では、計画・設計段階で客席から舞台が見えやすいかを判別することが難しい場合があり、施設完成後に施設利用者から困りごとや苦情などの形で顕在化する例が見受けられるという。同手法は、従来の評価手法ではできなかったという評価基準を数値化し定義することで可視化し、課題解決を支援するとのこと。

計画・設計段階から同手法による独自の評価及びVRによる可視化を通じて、各座席から舞台がどのように見えるかなどを事前に把握し、竣工後の施設運用イメージも含めて計画段階から評価を行う。これにより、設計にスムーズに反映させより良い施設の実現に繋げる。また新設施設に加えて、既設施設の現状把握や改修計画にも対応できるとしている。

同手法は、見え方総合評価プログラム、一体感および親密性の計測・数値化・評価プログラム、照明配置評価プログラム、劇場等計画支援VRシステムの4つで構成する。

見え方総合評価プログラムでは、従来は存在しなかったという、舞台の見え方に関する明確な評価手法・設計プログラムを確立している。多様化時代に合った多様な身長の視点に対応し、複数の目標を多数の視点で同時検証可能となり、見やすい設計法を実現するという。また、設計前に客席からどのように舞台が見えるかを評価できるとしている。

一体感及び親密性の計測・数値化・評価プログラムは、抽象的なため理解しづらい一体感や親密性を、数値で具体化することで良質な劇場の創出に使用する。照明配置評価プログラムは、照射対象と光源位置を立体的に計算し図上で評価ができるため、より効果的な照明配置を実現するという。

これらの評価・計測データを、同社が1990年から培ってきており、都市計画ホール・アリーナ・スタジアムなどで多くの実績を残しているというVR技術を使用し可視化することで、直感的な検証や計画が可能。劇場・観覧施設に加えて、スタジアム・アリーナ施設などの計画・設計前段階に重要な要素の検討・判断・共有ができるとしている。

また、VRによって可視化したデータは、主催者にとっては客観的な視点でチケッティングやマーケティングに応用可能。鑑賞者には事前に購入予定の座席の見え方をスマートフォンやパソコンなどからVRイメージで確認できるため、客観的な評価を基に検討しチケットを購入できるとのことだ。