NTT東日本は1月18日、オプティム、WorldLink & Company(ワールドリンク)と共同で、ドローン分野における新会社「NTT e-Drone Technology」(本社:埼玉県朝霞市)を設立し、2021年2月1日から事業を開始すると発表した。資本金は4億9000万円で、NTT東日本が50%以上の出資を行う。

各社の役割としては、NTT東日本がICT技術の活用や地域のニーズの収集を行い、オプティムがAIをはじめとするドローンに関わるソフトウェアの開発を、ワールドリンクがドローンの販売・保守体制を担う。2021年2月1日から事業を開始する予定だが、ドローン開発などの一部の事業をスカパーJSATグループのエンルートより譲受する。

新会社の主な事業内容は、国産ドローンサービス事業、ドローン運用支援事業、ドローンソリューション事業、データプラットフォーム事業の4つ。NTT e-Drone Technology 代表取締役社長の田辺博氏は「ドローンでできることからアプローチするのではなく、ドローンを含めたICT全般を活用して社会課題を解決するアプローチを目指す」と語った。

  • NTT e-Drone Technology 代表取締役社長 田辺博氏

農業を起点にドローン利活用を推進する地域の拠点づくりを進め、点検・測量・公共などの他分野への展開も視野に入れている。農業分野ではセンシングを活用した適期防除や可変施肥の実現、フードバリューチェーンとの連携などを行い、産業分野では、河川・農地・森林の4D 盤の構築による国土保全および災害対応のスマート化などに取り組む。

新会社の国産ドローンサービス事業では、軽トラ・軽バンに積み込み可能で女性一人でも運搬可能など、日本の利用シーンにフォーカスしたペイロード4kg~8kgの産業用中型機を提供する。具体的には、散布や施肥を行う農業機として「AC101」を、測定やセンシングを行う産業機として「EC101」を提供する。

  • 農業機ドローン「AC101」と産業機ドローン「EC101」

「AC101」は、コンパクト・軽量でありながら、1バッテリーで最大2.5haの散布が可能で、バッテリー3本と充電器1台あれば、一日中連続で散布することができるという。

  • 「AC101」の利用シーン

一方で「EC101」はリード線を搭載して通信ドローンとして活用するほか、空中の電波測定用機材を搭載することで電波測定ドローンになり、高精細カメラやレーザー測量機を搭載することで、測量・センシングドローンとして活用することが可能だ。

ドローン運用支援事業では、全国に販売・保守ネットワークを構築することでアフターフォローを強化し、産業用ドローンを操作するためのスクールネットワークを構築することで安全に利用できる環境を整備する。

ドローンソリューション事業では、機体をシェアリング型で提供することで課題解決をサポートする。AI・5G・クラウドや連携衛星(みちびき)等との連携を行い、施肥・播種への拡大を目指す。また、センシングや画像解析などの受託やパイロットの派遣も予定しており、国産ドローンの利用シーン開拓や技術獲得につながる実証については共同開発も予定しているとのことだ。

データプラットフォーム事業では、飛行データなどを多様なパートナー企業と流通し、新たな価値を創出することを目指すとしている。

田辺氏はこれらの事業全体で、2021年度内に10億円の売上を、今後5年以内には50億円の売上を目指すとした。なおNTT東日本は今後、スマート農業の推進を目的として、ワールドリンクと連携し、国産農業用ドローンのデモフライトを順次全国で行う方針だ。