日本半導体製造装置協会(SEAJ)のフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置需要予測(2021年年初版)によると、2020年度(2021年3月期)日本製FPD製造装置(日系企業が日本国内あるいは海外で製造し、日本を含む世界で販売したFPD製造装置)の販売額は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による渡航制限などの影響もあり、前年度比11.7%減の4200億円となるという。

また2021年度も第10.5世代の液晶関連投資が一巡する影響で、同4.8%減の4000億円と2年連続のマイナス成長を予測。回復は、2022年度に新技術を盛り込んだ投資を復活するという形で同7.5%増の4300億円との予測となっており、2020年度~2022年度の年平均成長率はマイナス3.3%としている。

新型コロナの影響が大きいFPD製造装置産業

2020年の液晶パネル市場は、新型コロナの影響による在宅勤務などの需要増により、ノートPC、タブレット、モニター向けITパネルが品薄となり、工場の稼働率が上昇。パネル価格も上昇し、大手パネルメーカーの営業利益率も2020年第1四半期(2020年1-3月)を底に回復傾向となっている。

一方で、設備投資はというと、新型コロナによる海外渡航制限の影響が大きく、主要装置の本格的な現地立上げが出来ない状態が継続し、2020年は第1~3四半期(1~9月期)を通して売り上げが大きく低迷した。2020年末の段階では、渡航制限の段階的解除で売り上げが回復しつつあるものの、次年度へスライドする案件が多い。そのため、2021年度は、G10.5向け案件が一巡し投資の全体額は大きく落ちるものの、立ち上げの積み残し案件が複数残った関係から、落ち込みの影響が軽減される見通しだという。

また、2022年度については、中国の一部で大型投資の計画があり、新たなパネル製造技術の登場によって、新たな競争軸が生まれてくることが期待されるためプラス成長へと転じることが期待されるとしている。

なお、SEAJは、ほぼ顧客がいなくなってしまった日本市場におけるFPD製造装置需要予測を発表していない。

  • SEAJ

    日本製FPD製造装置販売額の推移(日本製販売額とは、日系企業が日本国内およぶ海外工場で製造し、日本を含む世界市場で販売した額を指す) (出所:SEAJ)