NTTデータは1月15日、位置情報コンテンツのビジネス活用を可能にする「BizXaaS MaP」で「モバイル空間統計 人口分布統計(リアルタイム版)」を日本全国1時間のリードタイムで配信するサービスの提供を開始した。2024年までに累計10億円の売り上げを目指す。

コロナ禍において人々の行動は変容し、経済活動にも影響が生じており、特に消費行動は日々変化する人出・混雑状況に大きく左右され、従来の需要予測や来客予測などの情報をそのまま活用することは難しく、リモートワーク中心の働き方が定着したことで、店舗や施設周辺の状況を直接把握することも困難だという。

そのため、企業はニューノーマルに適応した仕組みづくりが求められている一方で、リアルタイムの人口データをビジネスに導入するには、データの活用方法や既存システムとの連携においても課題があり、同社はこれらの課題を解決し、リアルタイム人口データを加味した分析予測や施設周辺の状況把握などを可能にした新しい社会の仕組みづくりを推進するため、新サービスを提供する。

新サービスは、リアルタイム人口データを地図情報システムであるBizXaaS MaPの配信基盤を通して提供し、1時間前の街の動きをシステム上で視覚的に確認でき、多様な位置情報コンテンツとの重ね合わせや、既存システムとの連携で、高精度の需要・来客予測を実現することを可能としている。

主な特徴として、これまでデータの表示に1か月程度のリードタイムがあった人口データを、1時間のリードタイムで配信し、リアルタイムの人口分布や属性情報(性・年代・居住地)を500mメッシュ単位で把握。属性情報も確認できるため、いつ・どこに・どのような人が・どこから来ているか把握でき、情報を1時間や1日ごとの単位で自動的に推移し表示するため、街の動きを視覚的に捉え、新たな気づきを得ることができるという。

  • リアルタイム人口データからの店舗来客予測

    リアルタイム人口データからの店舗来客予測

また、BizXaaS MaPの技術を利用し、リアルタイム人口データの表示に加え、多様な位置情報コンテンツや統計データ、売上・顧客情報などのデータを重ね合わせることが可能。ビジネス環境の変化に適応するための、高精度の需要・来客予測や他社と差別化した独自戦略の検討が可能。

さらに、既存システムへのAPI連携をはじめニーズに合わせた導入を可能とし、地図上に指定した範囲内の人口データを集計する機能などを用意しており、同機能はAPI連携で既存システムに追加することができるため、地域メッシュに基づいたデータ集計だけでなく、商圏や到達圏に合わせて独自に範囲を設定して集計・分析をすることも可能としている。

活用イメージとしては、小売・流通企業では従来は過去の売上・来客数と統計データを基にしていた需要・来客数予測を、リアルタイムの店舗周辺データを用いることで、人々の行動変容による人口変動を即座に捉え、発注・在庫管理・シフト管理の精度が向上できるという。

飲食店ではフードロス削減が意識される昨今、リアルタイムの街の人出を把握することで、仕込み量の調整や閉店間際の割引率の最適化でき、廃棄食材の削減を可能としている。製造業・卸売業は街の人出状況をリアルタイムに把握することで、生産量・流通量の最適化が図れる。

メーカー/卸などの各種営業では、リモートワークが主流となる中、営業先の店舗・施設周辺状況を確認することで、在宅環境でも営業先の状況把握を可能とし、周辺の人口情報を踏まえて品揃えや販促施策を提案するなど、一歩進んだ営業活動を実現するという。自治体・公共交通機関・イベント: リアルタイム人口データと利用者数などのデータを組み合わせて表示することで、感染予防に配慮した情報公開に活用可能。

今後、あらゆるビジネスの予測・分析システムに活用・導入することで、新しい社会に適応した仕組みづくりを目指すことに加え、新サービスののデータと気象データや人流データ、道路交通情報をBizXaaS MaPの配信基盤上で掛け合わせることで、新たな予測データの作成や人々の消費傾向・行動傾向の把握、それらを用いた近未来シミュレーションなどといったサービスの拡充も進めていく。