米国半導体工業会(SIA)は、2020年11月の世界半導体売上高総額(3カ月移動平均値)が前年同月比7.0%増、前月比1.1%の394億ドルとなったと発表した。

SIAの社長兼最高経営責任者(CEO)であるJohn Neuffer氏は、「新型コロナウイルス感染症のパンデミックやその他のマクロ経済的要因による大きな逆風にもかかわらず、2020年の年間売上高は2019年の合計をはるかに上回っている。米州での販売は11月も引き続き好調で、11か月連続で2桁成長を続けている」と述べている。

地域別の状況としては、前年同月比でみると米州が同12.5%増、中国が同6.5%増、アジア太平洋/その他地域が同6.5%増、日本が同5.1%増と多くがプラス成長となったものの欧州のみ同0.7%減とマイナス成長となった。また前月比では、米州が同2.1%増、中国が同0.1%増、日本が同5.2%増、欧州が同3.6%増とプラス成長となったものの、アジア太平洋/その他地域のみ同0.5%減となった。

米国半導体産業強化法案はどうなる?

米国では現在、超党派議員が提出した米国半導体産業強化法案(誘致した半導体工場への補助金を含む)を米国議会が審議中で、SIAも首都ワシントンD.C.にて、同法案を通すための様々なロビー活動を展開している。そのような重要な時期に、トランプ支持者集団の連邦議会議事堂への乱入事件が発生。Neuffer氏は、即座に抗議声明を発表している。

SIAは、2020も新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に際し、半導体の製造が必要不可欠な仕事であるとの認証を求めたほか、米国政府の中国からの輸入関税引き上げや外国人半導体技術者のビザ更新中止に反対する宣言を次々と発表し、米国議会に向けたロビー活動を強化するなど政治的な活動を行ってきている。

なお、TSMCは米国政府の要請を受ける形で、米国政府の補助金をあてにして5nmプロセスを採用したファブをアリゾナ州に建設することを決めたが、補助金の詳細などはまだ決まってはいない。また、Samsung Electronicsも、テキサス州の子会社Samsung Austin Semiconductorの隣接地を「産業用地」として購入したものの、具体的な用途などは何も決まっていないとしている。こうした動きについて、米国に半導体ファブを新設した場合に補助金を出すことを明記した法案が米国議会を通過する前に、ファブ建設を発表するのは得策ではないと判断している模様だと地元メディアは伝えている。米国半導体業界関係者によると、米国半導体産業強化法案が審議を終えて一刻も早く成立することを待ち望んでいる声が日に日に強まっているという。