矢野経済研究所は1月7日、国内外のM2M(Machine to Machine:機器間通信)市場を調査し、市場規模、セグメント別の動向、参入企業動向、注目技術動向、将来展望を発表した。同調査は、 2020年9月~12月の期間、通信キャリアやMVNO、ITベンダー、SIerなどを対象に実施された。
具体的には、人が介在せずに、主に携帯電話やPHS通信規格に準じた通信モジュールを内蔵した機器・デバイス間で情報のやり取りをするM2Mを対象とし、ネットワークを用いたシステム構築やプラットフォームの利用などの動向を調べている。
同調査によると、2019年度の国内M2M市場規模(事業者売上高ベース)は2100億円で、前年度比4.5%増となった。IoTではさまざまなネットワークが利用されているが、現状でモバイル回線としては、4G/LTE(Long Term Evolution)および3Gネットワークを利用するケースが多いが、2020年度以降、産業向けIoTの本格実装に合わせて、徐々に高速・大容量、低遅延、多接続などの機能に大きな強みを持つ5G(第5世代移動体通信サービス)対応機器やデバイスなども含めた5GベースのIoTソリューション導入が始まってくるという。
これを受け同社は、2020年度のM2M市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比1.0%増の2120億円になると見込んでいる。ただし、コロナ禍の影響による遠隔・リモート志向の継続や、多様な通信ネットワークの登場に伴う適用領域の拡大などもあり、2020年度下期に入って新規受注も戻り、プラス成長は維持する見込みとしている。
また2025年度以降になると、既存の4G/LTEやLPWA(Low Power Wide Area)、Wi-Fi系などの通信ネットワークとの間で極端なコストの違い(導入コスト、運用コスト)や、信頼性、対応機器・デバイス数が少ないといった問題が生じない限り、新規導入するIoTソリューションではモバイル5G型IoTやローカル5G型IoTを選択するケースも少なくないと、同社は考えている。