旭化成は1月5日、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速を目指し、デジタル共創ラボ「CoCo-CAFE」(東京都港区)をオープンした。同社グループは、DX推進を加速するためには社内外の知恵をつなぎ、価値を共創していくことが重要であると認識しており、CoCo-CAFEではマーケティング、R&D、生産技術各部門のデジタル人材を集結させ、社内外の交流を促進し、DX基盤の強化とビジネスの創出を目指す。

  • CoCo-CAFEのイメージ

    CoCo-CAFEのイメージ

具体的には「挑戦・共創の場」「デジタル技術の高度な活用・検証・体験の場」「DX人財育成の場」と位置付ける。挑戦・共創の場としては、グループのデジタルプロフェッショナル人材とビジネスリーダーが集い、ビジネスの創出に挑戦するほか、産学官のさまざまな社外のパートナーとの共創の場として活用していく。

デジタル技術の高度な活用・検証・体験の場については、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたデジタルツイン環境を整備し、海外の工場を日本から遠隔で運転支援するなど、デジタルを活用した新しいビジネススタイルを開発・検証していく場とする。また、デジタル技術を用いたさまざまなデモ装置を設置し、それを体験することで、新たな価値につながるアイデアを創出する。

DX人材育成の場に関しては、DXの推進においてはデジタルプロフェッショナル人材の育成だけでなく、全従業員へのDX教育が重要であるとも考えており、グループ内の人材を「旭化成DXインターンシップ」として同拠点に受け入れ、教育を実施することでDX人材を計画的に育成・拡充していく。

同社グループではマテリアル、住宅、ヘルスケアの3領域で事業を展開しており、多様な事業・技術・人材から生じるデータをもとに、バリューチェーンのさまざまなステージにおいてデジタルを活用することで新しい価値提供の機会が広がっていくという。

また、DXを活用できるシーンは研究開発、生産、品質管理、設備保全、マーケティング、事業戦略、新事業の創出など幅広く存在し、デジタル人材の育成やDXを推進する場・空間の提供に加え、従業員の意識も変革しつつ、DXの取り組みを「基盤強化(DXリーダー・デジタル人材の育成、働きがい向上)」と「事業高度化・変革(生産、R&D、事業戦略、新規事業創出)」の両輪でステージアップしていく方針だ。

  • グループのDX推進の全体像

    グループのDX推進の全体像

今後、同社ではDXのさらなる加速に向けて、CoCo-CAFEのオープンに加え、「グループ横断のDX新組織設置を構想」「DXビジョンの策定」を計画している。

グループ横断のDX新組織設置の構想では、多様な事業・技術・人材を活用し、グループ全体のDXを加速させていくために新組織設置の準備を進めており、新組織はグループ横断の活動、社内外との連携などで従来にない価値の創出を目指す。

DXビジョンの策定については、はDXを活用して、ビジネス変革を加速するために、2030年を見据えたDXビジョン策定の準備を進め、新組織の設置を含め、社内外への公表を予定している。

  • 旭化成グループのDX推進ロードマップ

    旭化成グループのDX推進ロードマップ