日本オラクル 執行役 社長 三澤智光氏は、2021年の年頭所感を発表した。まず自分たちがDXを体現し、お客様に還元していくとしている。
明けましておめでとうございます。
新年のスタートにあたり、ご挨拶申し上げます。
2020年12月に執行役 社長に就任しました。この際、日本オラクルの新たなビジョンとして「Be a TRUSTED TECHNOLOGY ADVISOR」を掲げました。
日本オラクルは長年にわたり、エンタープライズの、そしてミッション・クリティカルの領域においてお客様を支援してきた実績があります。そしてテクノロジー・ベンダーである私たちは、お客様のクラウド・ジャーニーを先導していきたい。お客様とともにデータドリブンなDigital Transformation(DX)を実現していきたい。新しいビジョンにはこのような想いを込めています。
このようにアドバイザーとしてお客様のDXを適切に支援するためには、まず私たちがDXを体現しなければならないと考えます。そこでオラクル自身が自社のサービスを使ってDXを行い、これによって得られた知見やノウハウを製品やサービスに反映し、お客様に還元していきます。このプロジェクトを「Oracle@Oracle」と呼んでおり、すでにクラウド・ネイティブなSaaS(Software as a Service)を活用したデータドリブンなDXを推進しています。
具体的な施策としては、オンプレミスからクラウドへの移行、オラクル社内のさまざまな情報を一元的に管理する “シングル・データ・モデル化”などに取り組んでいます。その結果、さまざまな業務の変革を成し遂げています。
たとえば営業とマーケティングの観点では、受注業務の70%を完全自動化することに成功しました。また日本オラクルでは1年前まで契約書の電子化率はわずか8%に過ぎませんでしたが、現状では92%まで拡大しています。さらに全社員がリモートで業務を行っている状況でありながら、四半期決算の発表に必要な作業をわずか16日間で終えることができました。
そして私たち自身のDXをさらに加速することを目的とした「Oracle Digital Transformation」タスクフォースも立ち上げており、ここでの取り組み・成果の内容は、積極的にお客様に発信していきます。ぜひご注目ください。
さて、オラクルはソフトウェアおよびハードウェア主体のビジネスから、クラウドを前提としたサブスクリプション・ビジネスへと事業モデルの変革を行ってきました。そのクラウドのサービスには、広範かつ統合されたビジネス・アプリケーションを提供する「Oracle Cloud Applications」と、次世代のクラウド・インフラストラクチャである「Oracle Cloud Infrastructure」の2つがあります。
「Oracle Cloud Applications」はERPやHCM、CXなどといった領域で新たに開発した次世代のクラウド・ネイティブなSaaSであり、シングル・データ・モデルによるプロセスの効率化や、最適化されたAIおよび機械学習による自動化、非効率なアドオンを極小化できる拡張性の高いオープン・テクノロジーの採用といった特長があります。これらにより、今後積極的に進められるであろうバックオフィスのクラウド化を中心に、私たちはさまざまな領域でお客様を支援することが可能です。
一方、「Oracle Cloud Infrastructure」は、ミッション・クリティカルなワークロードに対して最適な環境を提供することができるクラウド・サービスです。さらにネットワークとデータベース、ストレージをすべて暗号化しているほか、 “Defense in Depth(多層防御)”の考え方に基づき、データそのものを中心としたセキュリティを実現しています。また、こうしたセキュリティ機能の多くを無償で提供していることも、「Oracle Cloud Infrastructure」の大きな特長です。
このようなクラウド・サービスでお客様のDXを支援しつつ、将来に向けた取り組みも加速させています。1つはパーシステント・メモリと呼ばれる新たな半導体技術に対応したソフトウェアを提供することで、トランザクション・システムに大きな革新を起こすことができると考えています。
AIの活用により、プロセスのさらなる自動化や能動的なデータ活用、そしてシステムそのものの自動化も積極的に進めています。お客様が自ら開発するのではなく、そのまま使えるAIを今後提供していくことになるでしょう。
これらの新たなソリューション、そしてすでに提供している広範かつ統合されたクラウド・サービスにより、お客様のDXを支えるTRUSTED TECHNOLOGY ADVISORとして貢献してまいります。