矢野経済研究所は12月24日、国内の自治体向けソリューション市場を調査し、市場概況や将来展望、自治体クラウドビジネスや主要ベンダーの動向などを明らかにした。
調査によると、2019年度の国内自治体向けソリューション市場規模(事業者売上高ベース)は6,645億円で、前年度比103.9%であったという。
2019年度は自治体クラウド推進によるシステムの共同運用、システムのクラウド化が進展したことによる市場の縮小があったものの、Windows7のサポート終了にともなう特需により市場は拡大したという。
2020年度はその反動による市場規模の縮小が見込まれるうえ、システムのクラウド化や共同運用化が進展し、投資の減少につながると矢野経済研究所は予測する。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響による給付金支給や濃厚接触者の管理ツールなどの各種業務の発生と、政府が推進する自治体業務システムの標準化に向けた対応などを背景に減少分を補う形となり、市場規模全体としては横ばいで推移し、2020年度の市場規模は6,440億円(前年度比96.9%)が見込まれるということだ。
2021年度以降、総務省が推進する自治体のシステムの標準化仕様対応に向けた投資が進むとみているが、一部の自治体ではシステムの標準仕様が具体化されるまで、システム投資を控える可能性もあるという。一方、業務システム標準化によりベンダー間の価格競争が激しくなることから、基幹系などのシステム開発から撤退するベンダーが出てくることが想定されるとし、多くのベンダーは他社が開発したシステムの導入支援や販売業務まで事業領域を拡大し、収益を確保しているということだ。
矢野経済研究所は今後、自治体業務のデジタル化やDXの実現、人手不足、働き方改革などを背景に、引き続き印刷業務を中心としたBPOサービスの利用は進展するものとみている。
また、AIやRPAなど新たなIT製品の利活用に投資が進むことが期待されるが、市場規模を押し上げるにはまだ時間がかかり、2021年度の市場規模は6,518億円(前年度比101.2%)を予測し、以降も2024年度まで市場規模は横ばいで推移すると予測している。