矢野経済研究所は12月24日、国内QRコード決済市場の現況、参入企業の動向、および将来展望に関する調査結果を発表した。同調査は20年8月から11月の間、QRコード決済サービス提供事業者を対象に調査したもの。

QRコード決済は、中国で普及しているAlipayやWeChatPayの利用者を取り込むことを目的として、日本での加盟店の導入が進んでいる。また、QRコード決済サービス提供事業者は導入コストや手数料率の低さを訴求し、これまで導入企業の拡大に取り組んできた。

そして2019年度は、個店を中心とする加盟店に対しては手数料の無料化、利用者には大型キャンペーンによるインセンティブ付与を強みに、QRコード決済の利用を促す動きがみられた。さらに、政府が実施したキャッシュレス・消費者還元事業などを背景に、QRコード決済市場は急激に拡大しており、2019年度の国内QRコード決済市場規模は、サービス提供事業者の取扱高ベースで1兆8369億円になると同社は推計している。

  • QRコード決済市場規模推移と予測 出典:矢野経済研究所

QRコード決済サービス提供事業者は、個店を中心に加盟店手数料を無料化することでQRコード決済の導入を促し、加盟店数の拡大を図っているという。加盟店のメリットとしては、キャッシュレス決済を利用する顧客の裾野拡大による売上高向上や、レジの作業削減などが挙げられる。また、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を機に、感染防止のためにQRコード決済をはじめとするキャッシュレス決済を導入するニーズが高まっている。

こうした背景を受け同社は、2024年度のQRコード決済市場規模は、サービス提供事業者の取扱高ベースで10兆290億円まで拡大すると予測している。なお、2021年度頃までは、COVID-19の影響によるキャッシュレス決済のニーズの高まりを背景に、市場は拡大すると見込んでいる。