NECは12月24日、行政や民間企業が保有するデータを利活用した防災分野での取り組みとして、災害情報や人流情報、SNS情報などを分析することで、風水害時の災害発生箇所を迂回した通行可能性の高い物資搬送ルートや避難ルートを表示する防災マップシミュレーションの実証実験を、20年8月から11月まで実施したと発表した。

同実証実験では、2019年東日本台風(台風第19号)が日本に上陸した2日間(2019年10月12日~10月13日)を対象に、多摩川を含む大田区・世田谷区・練馬区・品川区の4エリアに関するオープンデータや民間企業データ、行政データの収集・分析が行われた。

  • 人流やSNSなど各種データを地図上に表示

  • 収集したデータを元に、通行可能性の高い推奨ルートを地図上に表示

具体的には、浸水想定区域情報に加え、スマートフォンによる位置情報や移動速度に基づき匿名化した人流情報や、同社の自然言語処理プラットフォームにてTwitter上の災害に関する投稿を解析・可視化した情報などの各種データを掛け合わせることで、当時の浸水被害箇所を避けた推奨ルートの表示を実現したという。利用した各種データとデータ件数は以下の通り。

  • 利用した各種データ概要

また同社は、セブン‐イレブン・ジャパンや日通総合研究所、大田区、世田谷区、豊島区、江東区の防災行政従事者などの協力のもと、災害時に同シミュレーションを利用する配送業者や小売業者および避難者を想定し、災害発生箇所を迂回したルート表示を行うサービスの導入意向や導入に際しての課題などを抽出したとしている。今後、データの掛け合わせ方法や、情報の精度向上といった課題について、検討を進め社会実装を目指す方針だ。